里山川海を歩くライターの活動記録

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【DoChubu掲載】〈おさかなブログ〉テーマは地産地消!名古屋市中央卸売市場本場の第3回「市場まつり」

〈『DoChubu』2012年12月11日更新、2020年4月24日加筆修正〉

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多くの人でにぎわった「ふれあい市場まつり」

名古屋の食を支える台所の市中央卸売市場本場(熱田区)で2012年10月28日(日)、「ふれあい市場まつり」が開かれ、小雨のぱらつく天気のなか約2万7000人の市民が来場。開放された市場内では、水産、青果物の販売やマグロの解体、一般参加の模擬セリなどが行われ、多くの老若男女が楽しみながら市場の魅力に触れました。

今年で3回目となるこの催し。市場を身近に感じて、役割を知ってもらおうと市中央卸売市場協会が開催したもので、今回は「地産地消」をテーマに工夫を凝らしたさまざまなイベントが企画され、市場内はたくさんの人でにぎわいました。

テーマは地産地消 

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太物棟にはたくさんの魚がならび、来場者の注目を集めました

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市場関係者の説明を聞きながら魚に手を伸ばす子どもたち

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愛知県内で水揚げされたさまざまな魚介類も展示され、多くの人々が見て触れて学びました

まつりの催しは、市場内にあるさまざまな施設で行われました。中央広場では、市場関係者らによる模擬店がならんだほか、野菜や果物、いか焼き、山形の郷土料理である芋煮などが販売され、人々の長い列が。広場に隣接して設けられた特設ステージでは、郷土の伝統芸能や高校生による吹奏楽演奏、大学生によるお魚トークや食のクイズが行われ、来場者の注目を集めました。太物棟では、地元の愛知で獲れる魚介類の展示やマグロの解体実演、水産物のセリ売りが行われ、人々は迫力ある市場の雰囲気を体感。塩干棟では、冷凍物や塩干物などの水産商品が販売されました。

前回を上回るたくさんの魚が展示された太物棟。大きなマグロから全国の近海で漁獲されたもの、「地産地消」のテーマにそって地元の海で獲れたものまで豊富な魚介類がならび、市場ならではの活気ある光景が見られました。展示されていた活きた魚や生鮮の魚は、見るだけでなく触れることもでき、多くの子どもが市場関係者の説明を受け、いろんな形や色をしためずらしい魚や貝、エビなどに手を伸ばしていました。

市場の魅力を体感 

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小さな子どもたちの人気を集めた魚釣りゲーム

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威勢のよい掛け声が飛びかい、会場が熱気に包まれた水産物のセリ売り

市場にある中央管理棟の1階では、市場の役割を紹介するコーナーや食品衛生検査所などのブースがならび、さまざまな魚の写真が貼られた模型を使った「魚釣りゲーム」、チリメンに混入している魚介類の仔魚などを見つける「チリメンモンスターをさがそう」といったイベントが開かれ、小さな子どもを連れた多くの家族が楽しみました。

2階では、食育講演会があり、「『食べてみよう!』食育体験型講座」と題して、名古屋文理大学短期大学部教授の芳本信子さんが講演。食についての知識や正しい情報を選択する力を身につけ、健康な食生活を実践する取り組みの「食育」について、わかりやすく話しました。

講演会では、養殖カンパチを使った調理実演も行われ、当日に締めたものと前日に締めたものの刺身の食べ比べも。受講者は、魚の体の構造や鮮度の違いによる味や食感の変化などを五感を働かせて学びました。

多くの人で埋まったまつりのなかでも、ひときわ大きな盛り上がりを見せたのが、昼から行われた一般参加による水産物のセリ売り。大きな鐘の音が鳴り響くと、声を張り上げる威勢のよい若手の市場関係者が台の上に立ち、クロダイやヒラメ、イシダイなどたくさんの魚を次々と紹介し、セリにかけていきます。値段を連呼しながら「お値打ちだよ」、「今日は大赤字」と呼びかける関係者らの声に、会場の雰囲気はどんどん熱を帯びていきます。人垣にもまれながら手をあげて値段をさけび、目当ての魚を求めようと必死の参加者。時おりジョークをまじえながら、テンポよくならぶ魚を売りさばいていくセリ人。肩車された小さな子どもが手をあげて競り落とすと、会場は大きな笑いに包まれました。

たくさんの人と魚であふれた「市場ふれあいまつり」。多くの子どもたちが魚に触れて、市場関係者と会話を交わす場面がとても印象的でした。セリ売りでは、会場の迫力につめかけた人々が圧倒され、セリ人のかけ声にどんどん魅了され、引き込まれていく様子が伝わり、見ていた記者も思わず熱くなりました。魚には、そして市場には人を惹きつける大きな魅力があることを改めて実感した今回の催しでした。(新美貴資)

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