里山川海を歩くライターの活動記録

水産のいろんな世界を歩き見て、ひとの営みや暮らしを伝えています

佐久島名物の大アサリ丼を楽しく調理!―なごや環境大学共育講座・第30回「味わって知る わたしたちの海」

〈2009年11月30日執筆、2020年5月20日加筆修正〉

なごや環境大学共育講座「味わって知る わたしたちの海」(主催:伊勢・三河湾流域ネットワーク・山崎川グリーンマップ)の第30回が2009年10月22日、名古屋市昭和区の昭和生涯学習センターで開かれました。今回、調理したのは佐久島の名物である大アサリ丼。講師は佐久島で民宿ゆきやを経営する大島眞信さん。一色町佐久島振興室の鈴木良浩さん、山崎高志さんも参加して、地元でとれる魚介類について説明するとともに、自然とアートにあふれた佐久島の魅力をピーアールしました。

この日は、一般の主婦ら約25人が参加し、大アサリ、イシガニなどを使って、大アサリ丼のほか、海鮮汁を全員で調理。地元でとれる豊かな海の幸について学びました。その後の試食では、身がプリプリでジューシーな大アサリに美味しい!との声があちこちからあがっていました。

f:id:takashi213:20200520134916j:plain

愛知でとれる豊かな海の幸について学びました

大アサリを調理したことがありますか?」

参加者の女性にたずねると、「スーパーで買って食べたことはあるけど、焼いて食べたことしかない」との答え。大アサリ丼をつくるのは、みなさん初めて。全員で調理を始める前にまず大島さんが、包丁で貝を割って身をむく方法やだしの作り方などを丁寧に説明しました。

大アサリ丼は、揚げた大アサリの身をだし汁にいれて、溶き卵でとじてつくります。だしは濃い目でアジやカツオ、サバを使用。しょう油、砂糖を控えめにするのがポイントだそうです。見本を示しながら話す大島さんに、参加者からは多くの質問が寄せられていました。

f:id:takashi213:20200520135447j:plain

今回の食材に使われた大アサリ。標準和名はウチムラサキ

f:id:takashi213:20200520135529j:plain

イシガニ

f:id:takashi213:20200520135934j:plain

油で揚げた大アサリの身

f:id:takashi213:20200520140123j:plain

参加者全員で協力しながら楽しく調理した

 

ただ見ているだけでなく体験してみなければということで、私も大アサリの殻むきに挑戦してみました。以前に一度、経験したことがあったため、包丁をいれて貝を開くまでは簡単でしたが、殻からきれいに身を取り出すのが意外と難しく、なかなかスムーズにいきません。初めて体験したという年輩の男性は「うまくむけたよ!」と満面の笑み。地元で獲れた海の幸を相手に、どのグループも楽しく会話しながら和気あいあいと調理を進めていました。

f:id:takashi213:20200520140311j:plain

完成した大アサリ

f:id:takashi213:20200520140339j:plain

だしの良くでたイシガニの海鮮汁

料理が完成した後、全員でできたての大アサリ丼、海鮮汁をいただきました。大アサリは、外がサクサクで中はとってもジューシー。かむと口のなかで貝のうまみがあふれでてきて、濃い目のだしにもよくあいます。海鮮汁もカニのだしがよくでていて、食べる手がとまりません。ボリュームたっぷりな大アサリ丼に「おいしい!」との声があちこちから。みなさん大満足の様子でした。

その後は、一色町の鈴木さん、山崎さんが、活性化に向けて島民ボランティアと行政が協働で進めている自然と伝統、アートの融合に向けた取り組み、潮風から守るためにコールタールをぬった黒い板壁がならぶ路地など、日本の里100選にも選ばれた島の魅力を紹介しました。

名古屋で佐久島の料理を教えるのは今回が初めてという大島さんは、「ピーアールするいい機会。楽しく料理できました」と笑顔で語っていました。民宿ゆきやでは毎年4月から12月上旬まで定置網漁の体験も行っており、獲れた魚を朝食のバーベキューで食べることができ、子どもにも人気があるそうです。

大アサリ丼をいただき、さらに島の豊かな自然や美しい景観などの話を聞くことで、参加者のみなさんの佐久島への関心はさらに深まったようでした。(新美貴資)