〈『日本養殖新聞』2014年寄稿、2020年6月10日加筆修正〉
愛知県名古屋市在住の消費者らが県内西尾市一色町で生産されたウナギを味わい、養鰻場を見学する学習イベントが2014年7月3日、開かれた。
この催しは、市民や市民団体、企業や大学、行政などが協働でつくる「なごや環境大学」の共育講座の一つ「味わって知る わたしたちの海」で実施されたもの。養鰻業の今を学ぼうと、一色うなぎ漁協、県水産試験場内水面漁業研究所の協力を得て、山崎川グリーンマップと伊勢・三河湾流域ネットワークが企画運営し、一般から主婦ら38名が参加した。
参加者はまず一色町内で三河淡水グループが経営する、うなぎ割烹「みかわ三水亭」を訪れ、地元産のウナギを使った丼を味わった。
続いて、一色うなぎ漁協へと移動し、内水面漁業研究所の冨山実主任研究員、同漁協の山本浩二参事からウナギについての話題提供を受けた。
冨山主任研究員は、今年6月にウナギ類が掲載されたIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストについて解説。1970年頃から採捕量が急減している二ホンウナギの稚魚についても触れ、海洋環境の変動、棲息環境の悪化、乱獲による資源減少の3つの原因があげられると説明した。また、水試が取り組んでいる雌比率向上や人工種苗生産などの試験研究についても紹介した。
続いて山本参事が、養殖池の構造やウナギの生態と産卵回遊、種苗生産技術開発の現状などについて報告し、参加者との活発な質疑応答が行われた。
その後、同漁協が所有する養殖場へと移り、参加者は山本参事らの説明を受けながら養鰻の現場を見学した。昨今、資源問題で注目を集めているウナギに講座を受講した人々の関心は高く、熱心に耳を傾け学ぶ姿が多く見られた。
(新美貴資)