〈『日本養殖新聞』2014年寄稿、2020年6月11日加筆修正〉
岐阜県産の旬の天然アユを集めて味わう「岐阜清流 焼き鮎味比べ交流会」(馬瀬川魚食文化フェスティバル実行委員会主催)が2014年9月20日夕刻より、下呂市馬瀬地区のフィッシングセンター水辺の館で開かれた。
実施したのは、同実行委員会を構成する馬瀬川上流漁協や馬瀬川下流域の清流を守る会、岐阜の川人文化研究会、地元の観光協会や市など。岐阜の河川で育ったアユの魅力を発信し、地域の活性化につなげようと、アユの釣り場として有名な馬瀬川が流れる自然豊かな同地区で企画された。県産のアユをそろえて食べ比べをする試みは初めてで、7つの河川で獲られたアユの塩焼きが来場者に振る舞われた。
好天に恵まれた当日は、下呂の他、岐阜や関、郡上、名古屋市からも参加があり、約60人が来場。提供されたアユは、馬瀬川上流(下呂市)、弓掛川(同)、益田川(同)、大洞川(同)、高原川(飛騨市)、長良川(関市)、和良川(郡上市)において友釣りや網漁などによって獲られたもので、県産の養殖アユも並んだ。
ベテランの調理人によってじっくりと炭火で焼かれたアユは、このほど開催された「第17回清流めぐり利き鮎会」(高知県友釣連盟主催)で日本一のグランプリに輝いた和良川をはじめ、どの河川のものも好評を得た。参加者はそれぞれのアユの姿や香り、身やはらわたの味わいを確かめながら堪能。頭から尾まで残すところなく味わった。
交流会では、岐阜市中央卸売市場の鮮魚仲卸協同組合青年部らによる天然アユ競りの模擬実演も披露された。全国でも行われているのは同市場が唯一という競りの実演は、大きな注目を集め、威勢のよい掛け声にあたりは活気に包まれた。
会場には、野村誠・下呂市長、尾関健治・関市長も来場し、地元のアユや河川の魅力をアピールした。
会場のすぐ横を流れる馬瀬川の川辺には、伝統の火ぶり漁で用いるかがり火が焚かれ、川音が心地よく響くなか、参加者はアユを頬張り交流を深めた。
企画・運営した中心メンバーで、同研究会を主宰する長尾伴文さんは交流会を振り返り、「その場で何種類ものアユを味わい、どこの川で育ったものかを探ることができたのは大きなこと。来年も継続して開催します」と語った。
(新美貴資)