里山川海を歩くライターの活動記録

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【新美貴資の「めぐる。(104)」】いつもと違う味を楽しむ 蒲焼きのタレを使った料理に挑戦

〈『日本養殖新聞』2021年2月15日号掲載〉

コロナ禍による自粛生活で、自宅にこもる毎日が続いている。私が暮らす愛知県では、1月14日より緊急事態措置が実施され、これにより飲食店に出されていた営業時間の短縮要請が強化された。

食事は元々自炊が中心だったが、近所のファストフード店や馴染みの店で食べることもあり、楽しみであった。それが、営業時間の短縮によって行く機会が減り、家で食べることが以前よりも増えた。

でも、作ることのできる料理のレパートリーはそんなに多くはない。毎日の食生活が単調になるといつもとは違った味が欲しくなる。そこで、ウナギのタレを使い、いつも作っている料理に活用できないか試してみることにした。

一口にウナギのタレと言っても、市販されているものには様々なものがあった。今、家の台所には三種類の『蒲焼のたれ』がある。

大きな違いは、原材料におけるウナギの有無で、それぞれの表示を見ると、商品Aは「魚介エキス」、Bは「うなぎエキス」、Cは「うなぎ骨」とあった。

AとBは大手スーパーで購入したもので、Aはこのスーパーのプライベートブランド。どちらも同じ県内の食品会社が製造している。

また、原材料名を見ると、AとBは「醤油」なのに対し、県内のウナギ店が販売するCには「たまり醤油」が使われていた。

今回は、価格が安く手軽に購入できるAの『蒲焼のたれ』を使ってみた。このタレは、一般的なウナギ店のものより粘度が低く、ウナギの旨味が加わっていないため、他の二つよりもさっぱりとした味わいだった。

タレはしょうゆとみりんがベースなので、基本的には肉や卵などと相性がよい。ただ甘みが強いので、合う食材や料理は限られる。

牛や鶏もよいが、肉のなかでこのタレともっとも合うのは豚だと思う。熱を通し、最後にタレを絡めて仕上げればそのままご飯のおかずになるし、丼にするともっと箸が進む。この味の深みは、しょうゆとみりんだけでは引き出せない。

肉と野菜を一緒に炒めてもよいが、野菜は水気が多いので、まずは肉にタレの味をしっかり付けて、それから野菜を加えると味がぼやけない。

野菜では、焼いたナスとの相性がよい。以前にテレビで見た、群馬県の飲食店が提供する『なすの蒲焼き重』。これを真似し、昨年の夏に蒲焼き丼を作ってみた。

ナスの皮をむき、包丁でウナギの蒲焼きくらいの大きさにカットし、焼き色をつけてタレを塗るだけ。簡単なので試してみてほしい。

この他、焼き飯や焼きそば、卵焼きにも使えたし、プリンやバニラアイスに二、三滴加えると、味ががらりと変わって面白い。

今回は、魚肉について試すことができなかった。畜肉と比べて魚肉は淡泊なので、濃厚なタレに合う料理が作れるか、魚種や調理法を今後試行してみたい。

みなさんは、蒲焼きのタレをウナギ以外の調理でどんな風に使っていますか。おすすめの料理があったら教えてください。

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蒲焼きのタレで作った豚丼。豚肉とタレとご飯の相性は抜群だ

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