〈『日本養殖新聞』2021年5月25日号寄稿〉
岐阜県内の長良川で漁獲された天然アユの初競りが5月11日、岐阜市中央卸売市場で行われた。
この日に一部流域でアユ漁が解禁となり、入荷した数量は36枚(1枚=約1キログラム、昨年33枚)。1枚当たりの最高値は4万円(昨年2万8000円)、最安値は1000円(同300円)。
同市場を管理する市によると、初競りは全体的に高めの値段で取引された。最高値は昨年を大きく上回ったが、これは取引先の意向を受けて買参人が競り落としたもので、全体の需要を反映したものではないと見られる。
市の担当者などによると、アユの発育状況は例年通り良好のよう。入荷したアユの体長は、平均で14センチとなり大、小が混じった。
当日の取引は朝6時より、卸2社で順番に行われ、多くの仲卸や買参人が参加。競り落とされたアユは、市内の料理店や小売店などの他、愛知県などに出荷された。
新型コロナの感染拡大防止のため、昨年に続き今年も県内の長良川鵜飼と小瀬鵜飼(5月15日に開幕)は開幕が延期になった。この地方の経済を支える観光業への打撃は大きく、名産であるアユの消費に及ぼす影響が懸念される。
市場関係者は「需要が落ちている。注文がなく、あっても量が大きく減った」。また別の関係者は「昨年の同時期に比べて営業している料亭もあるが厳しい。鵜飼の延期がどう影響するか」と話し、新型コロナの早期の収束を願う声が聞かれた。