里山川海を歩くライターの活動記録

水産のいろんな世界を歩き見て、ひとの営みや暮らしを伝えています

ひと

一番に残る印象はシラスウナギを育てることができたとき 3月で水産研究・教育機構を退職した田中秀樹氏インタビュー

〈『日本養殖新聞』2018年寄稿、2020年6月25日加筆修正〉 ウナギの人工種苗生産の研究において大きな功績をあげ、この分野の研究をリードしてきた国立研究開発法人水産研究・教育機構増養殖研究所ウナギ種苗量産研究センター量産基盤グループの田中秀樹グル…

【DoChubu掲載】「地産地消レシピ」の向山先生ってどんな人?

〈『DoChubu』2009年12月7日更新、2020年4月20日加筆修正〉 「地産地消レシピコーナー」で、木曽川流域の食材(11月号:木祖村の御嶽白菜、12月号:木曽町のすんき)を使ったレシピを考案し、作り方のポイントを動画で紹介してくださっている名古屋調理師専…

〈新美貴資の「めぐる。(80)」〉長良川に生きた 職漁師・大橋亮一さんを悼む

〈『日本養殖新聞』2019年2月15日号掲載、2020年4月18日加筆修正〉 職漁師・大橋亮一さん(岐阜県羽島市)が先月24日、病気のため亡くなった。83歳だった。豊かだった頃の長良川を知る、数少ない職漁師の一人だった。 昭和の戦後、高度経済成長期からの工場…

〈新美貴資の「めぐる。(79)」〉鰻業界の生産者を大事にしたい 「うな富士」相談役 水野尚樹さん

〈『日本養殖新聞』2019年1月25日号掲載、2020年4月18日加筆修正〉 今回訪れたのは、愛知県名古屋市の中心街から少し離れた昭和区白金地区にある繁盛店である。「うな富士」。県外にも多くのファンを持つ同店は、この夜もたくさんの人びとで席が埋まり、にぎ…

〈新美貴資の「めぐる。(77)」〉あふれる探究心で食べ歩く フリーライター・山室賢司さん

〈『日本養殖新聞』2018年11月15日号掲載、2020年4月18日加筆修正〉 日本人にとって、ウナギは古来より特別な生き物であったのだと思う。各地には、ウナギにまつわる伝説や「鰻」のついた地名がいくつも残っている。美味なる味わいはもちろんだが、謎の多い…

〈新美貴資の「めぐる。(76)」〉地元に愛される店をつくる 「うなぎ三代目魚梅」店長 高岡玲士さん

〈『日本養殖新聞』2018年10月15日号掲載、2020年4月18日加筆修正〉 今年7月、三重県津市の一身田(いっしんでん)地区にウナギ料理の店が開業した。「うなぎ三代目魚梅(うおうめ)」。近鉄「津駅」から二つ目の「高田本山(たかだほんざん)駅」で降り、歩…

〈新美貴資の「めぐる。(75)」〉津のうなぎ食文化を支えた121年に幕 う料理「藤屋」四代目 田辺昭裕さん

〈『日本養殖新聞』2018年9月15日号掲載、2020年4月18日加筆修正〉 地元の人びとから愛されてきた老舗のウナギ店が暖簾を下ろした。創業から121年を数える、津市新東町にある「藤屋」。四代目の田辺昭裕さん(59)が母・克子さんと長年営み、ウナギ料理を提…

〈新美貴資の「めぐる。(72)」〉川舟を制作し技術を記録 長良川の和船技術継承に向けて

〈『日本養殖新聞』2018年6月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 この春に岐阜県立森林文化アカデミーを卒業した学生が「長良川和船技術継承に向けた取り組み」をテーマにした課題研究で川舟を制作した。この和舟を見ようと、美濃市にある専門学校を訪ねた…

〈新美貴資の「めぐる。(61)」〉可能性を探り最上を目指す 「炭火焼うなぎ 魚寅」店主 村井俊之さん

〈『日本養殖新聞』2017年7月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 岐阜県郡上市の水と城の町「郡上八幡」にやってきた。そびえる山城を見上げ、歴史の年輪を感じる城下町を歩く。清らかな長良川と吉田川が合流するこの地域は、人びとの生活のなかに川があり…

〈新美貴資の「めぐる。(58)」〉感謝を忘れず日々邁進 和食・うなぎ料理「田なかや」店主 小澤達雄さん

〈『日本養殖新聞』2017年4月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 岐阜県岐阜市にある歓楽街の「柳ケ瀬」を歩く。広いアーケードが南北にいくつも走り、道の両脇には和洋中華の飲食店のほか、洋品雑貨や時計、和菓子、生鮮食品などを売るたくさんの店がなら…

〈新美貴資の「めぐる。(57)」〉日本一のアユで町をおこす 和良おこし協議会事務局長 加藤真司さん

〈『日本養殖新聞』2017年3月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 郡上の里に春がやってきた。城下町の八幡を中心に、山村が点在する岐阜県郡上市。清らかな水の恵みが、豊かな暮らしと多様な文化を育んだ。長い年月をかけ風土に人びとの営みが溶けこみ、自…

〈新美貴資の「めぐる。(56)」〉ウナギ食文化を守りたい 「うなぎや」店長 棚田郁哉さん

〈『日本養殖新聞』2017年2月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 今年初めに開店したウナギ専門店を訪ねるため、長野県飯田市に向かった。乗り込んだバスが天竜川にそって広がる伊奈谷に入ると、南信州の中核をなす都市が、盆地にはりつくようにぽっかりと…

〈新美貴資の「めぐる。(55)」〉ウナギを捕り川で生きる 熊野川漁師 新宅次郎さん

〈『日本養殖新聞』2017年1月25日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 この冬は暖かな日がしばらく続き、この朝も小春のような天気に恵まれた。年が暮れてしまう前に、会っておきたい川漁師がいた。乗り込んだ列車は、三重県南部の太平洋に面したリアス式の海岸…

〈新美貴資の「めぐる。(54)」〉長良川流域の自然環境を守る 株式会社郡上割り箸 割り箸・木育事業部長 野村純也さん

〈『日本養殖新聞』2016年12月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 雨にぬれた路面がゆっくりと乾き、頭上をおおっていた厚い雲が流れ青空がひろがる。「水のまち」と呼ばれる、岐阜県は郡上市八幡町にやってきた。 同市は長良川の上流域にあり、吉田川と小…

〈新美貴資の「めぐる。(53)」〉和紙の里の郷土食「にんめん」を伝える 美濃発條有限会社社長 神谷栄一さん

〈『日本養殖新聞』2016年11月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 単線の長良川鉄道に乗りこみ、始発の「美濃太田駅」を朝に発つ。この日に向かったのは、岐阜県の中央に位置する美濃市。わずかな乗客を乗せた一両は、重い駆動音と心地よい振動をひびかせ…

〈新美貴資の「めぐる。(52)」〉10年、20年先を目指す 「炭焼鰻はじめ」店主 加茂裕章さん

〈『日本養殖新聞』2016年10月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 今年5月、浜松市西区の雄踏町に新たなウナギ店がオープンした。JR舞阪駅から歩いて20分くらいのところにある「炭焼鰻はじめ」。浜名湖から近い幹道に面した店舗は、洗練されたシンプルな外…

〈新美貴資の「めぐる。(51)」〉アユは可能性のある面白い魚  長良川漁師 平工顕太郎さん

〈『日本養殖新聞』2016年9月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 今年も「長良川DAY2016」(同実行委員会主催)が9月3、4日の両日、岐阜県郡上市で開かれた。20年以上続くこの催しは、長良川河口堰建設に反対する会(岐阜市)、長良川水系・水を守る会(郡…

〈新美貴資の「めぐる。(50)」〉「四日市公害を忘れないために」市民の集い2016

〈『日本養殖新聞』2016年8月25日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 この夏も猛暑が続く。うら盆には多くの人びとが帰省し、精霊を迎え祖先の冥福を祈る。スポーツの祭典や行楽地がにぎわいをみせる一方、故郷では祭りや盆踊りが催され、列島の夏は今年もさま…

〈新美貴資の「めぐる。(49)」〉和食のすばらしさを伝える 和食・ふぐ「豆たぬき」店主 鈴木貴志さん

〈『日本養殖新聞』2016年7月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 名古屋の空をどんよりとした雲がおおう。この梅雨が明けると気温は一気に上昇し、丑の日に向けウナギの商戦は過熱する。名古屋駅の高層ビル群が近くに見える中川区松葉町。新しい家々がなら…

〈新美貴資の「めぐる。(48)」〉地道な取り組みを継続 碧南海浜水族館・碧南市青少年海の科学館 主任学芸員 地村佳純さん

〈『日本養殖新聞』2016年6月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 昨年夏、愛知県碧南市の碧南海浜水族館で特別展「おいしいウナギの話」が開かれた。日本人にとって馴染みの深い魚でありながら、その生態に謎の多いウナギ。近年は、漁獲量が激減し絶滅危惧…

〈新美貴資の「めぐる。(47)」〉自分で経験し覚える ウナギ専門店「うな豊」服部奨平さん

〈『日本養殖新聞』2016年5月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 桜の名所として知られる山崎川が近くを流れ、緑が多く閑静な宅地が広がる名古屋市瑞穂区の豊岡通地区。地下鉄「瑞穂運動場西駅」から歩いてすぐのところに、ウナギ専門店「うな豊」がある。…

〈新美貴資の「めぐる。(46)」〉最高のサービスを提供したい 「うなぎ与八」店長 水谷 圭さん

〈『日本養殖新聞』2016年4月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 三重県の北端にあって、木曽三川を境に愛知、岐阜県と接する桑名市。近鉄とJRが乗り入れる「桑名駅」から歩いてすぐのところに、いなべ市とをむすぶ三岐鉄道北勢線の小さな始発駅「西桑名」…

〈新美貴資の「めぐる。(45)」〉未来を考え行動する 「しら河」今池ガスビル店長 森田恵次さん

〈『日本養殖新聞』2016年3月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 料亭「大森」と、ウナギ料理をメインに和食を提供する「しら河」4店舗(うち1店は持ち帰り専門)を名古屋市内で展開するしら河グループ。社長で三代目の兄・大延さんを支え、今池ガスビル店…

〈新美貴資のめぐる。(44)〉ウナギコロッケで地元の特産をPR 「グリルれんが亭本店」代表 都築貴弘さん

〈『日本養殖新聞』2016年2月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 揚がったばかりの熱々をほおばると、ウナギの濃厚な味と香りが口のなかにひろがる。愛知県西尾市にある持ち帰り専門の「グリルれんが亭本店」が販売する「一色産うなぎコロッケ」(1個350円…

〈新美貴資の「めぐる。(43)」〉ウナギを食べない信仰の里 郡上市美並町の粥川を訪ねる

〈『日本養殖新聞』2016年1月25日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 ウナギを食べない風習が伝わり、いまも守られている地域があるのを知っているだろうか。岐阜県郡上市美並町の粥川(かゆかわ)。美濃の山奥にある小さな山里で、その伝承は語り継がれ、ウナ…

〈新美貴資の「めぐる。(42)」〉加工と直販で拡大目指す 山崎水産 坂柳淳之さん

〈『日本養殖新聞』2015年12月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 師走にはいるも、今年は晩秋から暖かい日が続き、日中はおだやかな陽気に包まれる。好天に恵まれたとある日の昼下がりに向かったのは、愛知県は東三河の都市・豊橋。同市の南部に位置する…

〈新美貴資の「めぐる。(41)〉地元を元気にしたい うなぎいも協同組合理事長 伊藤拓馬さん

〈『日本養殖新聞』2015年11月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 静岡は遠州の中核都市、浜松。早くから養鰻が発達した地として知られ、昭和の最盛期には新幹線の車窓からも、水車がまわり鏡面のようにかがやく池があちこちで見られた。往時に比べ養殖業…

〈新美貴資の「めぐる。(40)」〉家族で団結し地道に歩む ウナギ専門店「うなぎ処はちすか」店主 角谷至章さん

〈『日本養殖新聞』2015年10月15日号掲載、2020年4月16日加筆修正〉 愛知県の西三河地方にあって尾張と境を接し、西と南を衣浦湾と三河湾の海、東を矢作川や汽水湖の油ケ淵に囲まれた碧南(へきなん)市。その独特な地名は、かつてこの地が属していた碧海郡…

〈新美貴資の「めぐる。(39)」〉日々勉強でぶれずに邁進 ウナギ専門店「新玉亭」社長 杉本浩也さん

〈『日本養殖新聞』2015年9月15日号掲載、2020年4月16日加筆修正〉 市民一人当たりのウナギの消費量が全国でも有数の三重県津市。市内には、30近くのウナギ屋があり、舌の肥えた客を相手に日夜切磋琢磨を繰り広げる。かつては養鰻が盛んだった同市。産地と近…

〈新美貴資の「めぐる。(38)」〉母なる川に生きる 長良川漁師 大橋亮一さん

〈『日本養殖新聞』2015年8月15日号掲載、2020年4月16日加筆修正〉 江戸と京都をむすんだ中山道の宿場のひとつ、太田宿。岐阜県の中濃地域、美濃加茂市に残る宿場町は、岐阜と東濃、飛騨地域をつなぐ要衝の「美濃太田駅」から歩いて約15分のところにある。本…