〈『DoChubu』2011年12月9日更新、2020年4月22日〉
いよいよ今年もノリ摘みの季節がやってきました。伊勢・三河湾ではノリの養殖が古くから行われていて、冬に入るこれからが収穫の時期。全国でつくられている養殖ノリの大半はスサビノリという品種で、愛知でも生産が盛んです。
そろそろ摘み取りが始まるよと知り合いの漁師さんに教えてもらい、早朝に知多半島の先のほうにある野間(愛知県美浜町)の海岸へ。伊勢湾に面し、遠浅の浜が続く地先には、網をはった支柱が、海岸にそってびっしりと並んでいます。
暖かい日が続いていたものの、さすがに11月も後半に入ると潮風は冷たく、じっとしていると体に震えが走ります。この日も風はすこし強く白波がたち、摘み取りを見合わせる漁師も多いよう。
それでも、海岸を歩きながらじっと待ち続けていると、4、5隻の漁船が収穫を開始。「もぐり船」と呼ばれる摘み取り専用の船が、網の下をくぐってゆっくりと進み、成長したノリを機械で刈り取っていきます。海の畑のあちこちから、バリバリバリと軽快な音が響いてきます。
摘み取りを終え、浜へともどった船で、獲れたてをさっそく見せてもらいました。たくさんならぶカゴをのぞくと、つやつやと光るノリが、どっさりつまっています。
生ノリは、軽く洗って味噌汁に入れたり酢の物にして食べるそうで、佃煮にしてもおいしいよと、作業をしながら漁師の奥さんが教えてくれました。かるく水ですすいで適当な大きさに刻み、ポン酢をかけて食べるのもおすすめ。口いっぱいにほうりこむと、磯の香りが広がり、シャクッとした独特な歯ごたえが楽しめます。(新美貴資)