里山川海を歩くライターの活動記録

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【DoChubu掲載】〈おさかなブログ〉岐阜県羽島市で「美濃竹鼻なまずまつり」開催!

〈『DoChubu』2011年11月23日更新、2020年4月22日加筆修正〉

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商店街のなかをねり歩くナマズのみこし

岐阜県羽島市で、毎年秋に開かれているという「美濃竹鼻なまずまつり」。きっと地元で食されているナマズ料理も味わえるに違いないと、興味と食欲にそそられて、まつり2日目の2011年10月23日(日)に会場となっている同市内の竹鼻商店街を訪れました。

岐阜の西南に位置し、愛知県とも境を接する羽島市は、木曽川長良川に東西をはさまれた水郷の地域。昔から水害に悩まされる一方で、多くの恵みを川から受け、発展を遂げてきたところです。その恵みの大きな一つが川魚で、いまもこの地にはウナギやナマズを好む食文化が残っています。

のんびりと走る名鉄竹鼻線にしばらくゆられ、羽島市役所前駅で下車。駅前を通り過ぎる人々の後をついていくと、あっという間にまつり会場の商店街に到着です。まつりの始まりを告げる合図なのか、けたたましく鳴り響くラッパの音。通りの両側には商店や露店がずらりとならび、すでに多くの人でにぎわっていました。

今回も土日の2日間にわたって開催された「美濃竹鼻なまずまつり」は、今年で22回目。羽島市では、清流を好むナマズをシンボルにして地域の活性化を図ろうと、20数年前から取り組みを続けています。

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焼き上げたナマズの香ばしさが口に広がる「なまずひつまぶし」

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あっさりしょう油味の焼きそばにナマズがのった「なまず焼きそば」。まつりの両日とも限定150食で販売されました

会場の商店街を歩くと、まつりの限定グルメやいろんなナマズの商品が販売されていて、町のなかはナマズ一色。商店街の一角には、午後からの出番を待つたくさんのナマズのみこしが。市民の手によって作られた色とりどりのユニークなナマズは、見ているだけでも楽しく、通り過ぎる来場者の注目を集めていました。

午前11時より1000食限定でふるまわれた商店街の名物「なまず鍋」。長い列を待って鍋を受け取り、さっそく一口すすりました。味噌ベースの汁のなかにはナマズ白身もちょっと入っていて、ダシがしっかり効いているのか、濃厚な味わいでした。

売り切れてしまう前に手に入れておこうと、その後すぐに「なまずひつまぶし」(500円)を購入。年に1回、まつりのときだけ販売される特別なメニューで、両日とも300食の限定です。さっそく包装を解いてフタを開けると、カリっと焼きあがったナマズの身が。ウナギに比べると、身はやや固くて味はとても淡白ですが、クセや臭みはまったくなく、とても食べごたえがありました。

この他にも、まつりの限定グルメとして、「なまずDX(デラックス)弁当」(1000円)、「なまずカレーパン」(150円)などが販売されていましたが、すでに「なまず焼きそば」(500円)も食べていてお腹はいっぱい。今回食べられなかったメニューは、来年の楽しみにとっておきたいと思います。

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まつりで提供するために用意されたナマズ

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香ばしい煙がたちこめるなか、串に通したナマズを職人がていねいに焼き上げていました

昔は地元でもよく食べられていたというナマズ。近年は獲れる量も減ってしまい、市民が口にする機会は少ないそうです。それでも、ナマズ料理を提供する地元の川魚料理店の方にうかがうと、「木曽川でポツポツ獲れるようになってきた」と話します。ナマズは産卵を迎える夏場と、冬の寒さにそなえて体に脂をためる秋ごろがおいしいと教えてくれました。

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(左)地元のまちづくり団体のキャラクター・たけちゃん(右)、はなちゃん。羽島市の宣伝に大忙しでした。(右)商店街のあちこちでナマズを発見

ナマズをシンボルに年に一度開かれるユニークなまつり。まつりに参加することは、地域が歩んできた歴史や培ってきた文化を振り返り、その魅力を再認識することでもあるはず。これからのまちづくりを考えるうえで、きっと新たな活力をうむのだろうと感じました。

地元の子供たちによるロックソーラン踊りや小学生によるやみこし、企業や団体などによるなまずみこしコンクールなど、さまざまな催しも開かれ、大人にとっても子供にとってもきっと楽しい一日だったはず。

また羽島市を訪ねて、川と人とのつながりの歴史、なかでも川魚の食文化についてより深く知り、味わいたいと思いました。(新美貴資)

※記事中に記載されている価格は、取材当時のものです。

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