〈『DoChubu』2014年2月1日更新、2020年5月16日加筆修正〉
愛知・三河地域の伝統産業である三河湾産ハゼの甘露煮づくり。平松食品(本社:豊橋市)の豊川市にある御津工場では、師走にはいり甘露煮の製造が最盛期をむかえ、工場はフル稼働しています。従業員が忙しく働く工場内には、大きな釜がずらりとならび、味のよくしみこんだ甘露煮が次々と炊き上がります。伝統の製法によって3日間かけてつくられた製品は、関東から東海地方にかけて出荷され、デパートやスーパーの店頭にならびます。
伝統の製法を守る
一つひとつの工程を、職人が丹精込めてつくる三河湾産ハゼの甘露煮。ハゼの内臓をとりだして魚体に串を打ち、素焼きした後に特製のたれで炊き上げる。最後に、たっぷりのたれを何度もかける「かけだれ」という作業を行い、仕上げていきます。
「三河の甘露煮は甘め。かけだれはこの地域の製法の特徴で、製品につやがでて保存性もよいのです」と平松賢介社長。
すばしこい動きでエサをとることから、「すばやくことをなす」縁起の良い魚とされるハゼ。三河湾では9月上旬から水揚げが始まりましたが、今年も漁獲量は少なく、近年は不漁続き。同社では、約5トンの生産出荷を見込んでおり、中国産のハゼを代替することで伝統の製法を守り、食の文化をつないでいきたいとしています。
同社のハゼの甘露煮づくりは、年末まで行われます。(新美貴資)