〈2009年7月21日執筆、2020年5月19日加筆修正〉
「第10回赤須賀漁業まつり」が2009年7月4日(土)、三重県桑名市の赤須賀漁港で開かれました。地元で獲れる水産物や漁業に関心をもってもらおうと、毎年この時期に赤須賀漁協が実施しているイベントで、ハマグリやアサリが格安で買えることから多くの市民でにぎわいました。桑名の名物である焼きハマグリや水産加工品の販売、シジミ漁の見学なども行われ、家族連れで楽しむ姿が多く見られました。
まつりの始まる午前9時、赤須賀産のハマグリやアサリ、シジミを販売するコーナーはすでに行列ができ、開始と同時に飛ぶような売れ行き。販売価格は、ハマグリが中サイズで600円(1袋)、大サイズで2000円(1キロ)。シジミが300円(1袋)、アサリが300円(1袋)で、同漁協によると市価の半値ぐらい。用意したハマグリ約350キロ、アサリ200キロ、シジミ130キロは1時間半後にはほぼ完売でした。
焼きハマグリ(3個100円)の販売やシジミ汁の無料配布も、多くの人が列をつくる盛況ぶりで、味付海苔や佃煮、昆布しょうゆといった水産加工品も販売されました。アツアツの焼きハマグリは、身がプリプリ。口の中に入れると汁があふれでて、潮の香りがいっぱいに広がりました。
シジミ漁の見学は子供たちに大人気でした。ライフジャケットを着用し、まつり会場の漁港から漁船に乗って5分ぐらい移動すると、揖斐、長良川河口の漁場に到着です。漁を行っている船に近づくと、漁業者がシジミを獲る漁具を見せてくれ、わかりやすく説明してくれます。小さな稚貝は再び海に帰し、資源を大切に守り育てているといった話も聞くことができました。獲れたばかりのシジミを目の前にして、子供たちは目を輝かせていました。
全国的にも有名な桑名産のハマグリ。その漁獲量は、1970年代半ばには年間2000~3000トンあったものの、その後は減少の一途をたどり、一時期は1トン以下にまで落ち込んだそうです。漁獲量の制限や種苗生産による稚貝の放流に力を入れた結果、近年は資源に回復傾向がみられ、08年の漁獲量は134トンにまで増えています。
海水と淡水が混じりあう木曽三川の河口は、貝類が育つ最適な環境にあります。桑名産のハマグリ復活に向けて、行政や漁協では生育環境の調査や改善などに取り組んでいます。伊勢湾の最奥部にあって、いまも漁師町の雰囲気を残している赤須賀。照りつける太陽のもと、漁港で潮風に吹かれながら食べるハマグリの味は格別でした。
(新美貴資)
※記事中に記載されている価格は、取材当時のものです。