里山川海を歩くライターの活動記録

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親ウナギ250キロを放流 豊橋養鰻漁協が三河湾で実施

〈『日本養殖新聞』2014年寄稿、2020年6月11日加筆修正〉

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田原市内の穏やかな海浜で行われた

豊橋養鰻漁協は2014年10月27日、愛知県内の三河湾で親ウナギの放流を行った。この取り組みは、今年度の国の補助事業として実施されたもので、福井孝男組合長ほか4名の組合員によって行われた。当日は、早朝から曇り空で小雨がぱらつくあいにくの空模様となったが、時間の経過とともに晴れ間が広がり、放流は晴天のなか実施された。

この日は午前9時より豊橋市内にある養鰻場で、放流するウナギに標識となるイラストマー蛍光タグを注入する作業がスタート。作業には組合員をはじめ、この事業の事務局を担う日鰻連、さらに県水産試験場の職員も加わり、ウナギを一匹ずつ取り上げて押さえ、右眼下部に慎重に注射。標識は、この日に放流するウナギ約250キロのうちの3割に施された。

放流は、参加メンバーが揃った午前11時過ぎより、豊橋市と接する田原市三河湾に面した仁崎町の海浜で行われた。トラックで運んだウナギを組合員が総出で海浜へと移し、次々と海に放った。

放流されたウナギは、穏やかな波打ち際から勢いよく泳ぎだしたり、砂地にもぐったりとさまざま。そんな様子を、産卵への期待を込めて参加した組合員らが見守った。放流には、日鰻連の職員も同行し、県水産課の担当者が立ち会った。

放流を終えた福井組合長は「親ウナギとなって産卵場へと下り、卵を産むことを期待したい」と語り、資源回復に取り組むことの重要性を強調した。

今年度の親ウナギの放流事業は、静岡県の中部地区、浜名湖地区、愛知県の豊橋地区、一色地区、徳島県地区、高知県地区、福岡県地区、熊本県地区、宮崎県地区、鹿児島県地区が放流箇所となっている。

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ウナギにイラストマー蛍光タグを注入する

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約250キロのウナギが放流された

(新美貴資)