里山川海を歩くライターの活動記録

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ウナギ100匹を親子が放流 津うなぎ専門店組合が供養・放流会を開く

〈『日本養殖新聞』2014年寄稿、2020年6月10日加筆修正〉

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つかんだウナギを海に放す子どもたち

うなぎ専門店組合主催の「うなぎ供養・豊漁願い放流会」が2014年8月21日、三重県津市内であり、小学生と父母ら20組の親子がウナギの放流を体験した。

関係者のみで60年以上にわたり続けられてきた毎年恒例の行事は、ウナギについて理解を深めてもらおうと、今回初めて一般からの参加を募って開かれた。

実施したのは、組合に加盟する5つの店舗(はし家、新玉亭、大観亭支店栄町本店、藤屋、両口屋)。企画された勉強会や放流会は好評で、イベントは大いに盛り上がった。会場となった津ヨットハーバーには前葉泰幸市長も駆けつけ、全国有数の消費量を誇る地元の名物であるウナギをアピールし、放流にも参加した。

晴天に恵まれた汗ばむ陽気のなか、組合関係者による供養が終わった午前9時から一般参加のイベントはスタート。勉強会では組合員の店主らがウナギについて、名前の由来や産卵場、関東と関西の割き方の違いや含まれる栄養などの問題をだして、参加者と質疑応答をしながら交流。子供たちからは多くの答えや質問が寄せられ、親子で楽しみながらウナギについて学んだ。

続いて放流会が会場近くの海浜で実施され、参加者は用意された親ウナギ100匹(三河一色産)を放した。父母らが見守る中、子供たちは興味津々の様子で桶に入ったウナギを囲み、歓声をあげながら次々と手を伸ばしてつかみ、勢いよく海へと運んだ。

参加した親子には、組合加盟店で食べることができるペアのうな丼券の他、5つの店舗が地元の米菓会社と連携して商品化した、ウナギの骨とたれを使った「うなぎあられ」がプレゼントされた。

イベントは2時間ほどで終了。予想以上の反響に組合長の上原正広さん(はし家社長)は、「こんなに多くの方に来て喜んでもらえるとは思わなかった」と驚きの声をあげ、「来年もやる方向でがんばっていきます」と笑顔をみせていた。

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参加者と質疑応答をしながらウナギについて学んだ勉強会

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歓声をあげながら次々とウナギに手を伸ばした

(新美貴資)