〈『日本養殖新聞』2014年寄稿、2020年6月6日加筆修正〉
岐阜県・長良川下流などの指定された漁場で、2014年5月11日より天然アユ漁が解禁となり、翌12日には岐阜市中央卸売市場で初セリが行われた。
今年は11日が日曜の休市であったことから、翌日に延びた初セリは、午前6時から始まった。入荷数量は57枚(1枚=約1キロ、23~80尾入り)で、1枚当たりの最高値は2万円(昨年は3万円)をつけた。卸担当者によると平均価格は5000~6000円ほど。同市場を管理する市の担当者によると、解禁日の前後が晴天に恵まれ、まとまった量が漁獲されたことから、価格はやや安値となった。
入荷数量は、昨年の38枚より5割ほど増えたが、平年並み。サイズは17~10センチで、平均は約14センチ。発育状況は良好で、長良川河口堰での調査によると、遡上数は多めであることが確認されており、水温の上昇とともに今後の順調な入荷が期待される。
初セリでは、開始とともに約40人の仲買人らが台の上にあがり、次々と運ばれてくるアユを囲んでセリ人の威勢のある掛け声を受け、30分ほど取引が続いた。セリ落とされたアユは、市内の料理店の他、名古屋方面にも出荷された。
初日のセリを振り返った市場関係者からは、「脂ののりはまだまだ。サツキマスがアユを追って上るこれから」「7、8月には香りがでてくる」と、今後の需要期に向けて、消費の拡大を期待する言葉が多く聞かれた。6月には、長良川の上流域でも漁が解禁となる。
(新美貴資)