里山川海を歩くライターの活動記録

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「ニョロニョロ会」開催 東海三県の若手ウナギ職人が集い交流深める

〈『日本養殖新聞』2016年寄稿、2020年6月20日加筆修正〉

三重、愛知、岐阜県の蒲焼き専門店の若手ウナギ職人らで構成する親睦団体「ニョロニョロ会」(水谷圭代表[与八店主])は2016年2月16日、三重県桑名市の「味処 古都」で懇親会を開いた。会では、昨年の消費状況や今後の見通し、資源問題やウナギ食文化のアピールなどについて活発に意見を交換。交流を深めた参加者は、今後も消費者に満足してもらえるウナギを提供するため、お互いに技術の研鑽を図り、ウナギ食文化のさらなる発展に向けて努力していくことを誓いあった。

この会は、「与八」の水谷店主らの呼びかけで4年前より始まり、以降は毎年定期的に懇親会が催され、交流が図られてきた。6回目の開催となる今回は、13名(うち、三重県3名、愛知県8名、岐阜県2名)が参加。開会にあたり北川宗彦さん(「喜多川」店主)が挨拶に立ち、竹川典孝さん(「うな昇」取締役)が乾杯の音頭をとって、懇親の場がスタートした。

会では、昨年の状況を振り返り、各店ともさまざまな営業努力をしていることを踏まえたうえで「ウナギは高いものというイメージが浸透してきたのか、高い値段のメニューがでるようになった」(新玉亭)。「海外からは来ないが、県外からのお客が増えている」(なまず各務原分店)などの声が聞かれた。

また「中国からのお客が増え、団体でどっと来る。中国語のメニューに写真も入れ、視覚でもわかるようにした。伊勢志摩サミットが始まる5月前にどういう状況になるか。メニューもそろえていきたい」(うな富士)と、外国人観光客への対応に力を入れたいとの話もでた。

▼資源問題から商品開発まで活発に意見を交換

この他、「毎日でる頭や骨などのロスの分についても大切に扱いたい」(与八)といった声があがり、頭の部分を使った新たな商品開発についても、各店からいろんなアイデアがだされ、意見が交わされた。

資源の問題については、浜名湖で実施されている「親うなぎ放流連絡会事業」の取り組みが紹介され、「漁師が獲ってきた親ウナギを買い取り、沿岸部まで持っていき放流する。(資源回復につながる)確率が高い」(しら河)との意見があがり、地域の業界関係者が一体となって行っている活動に関心が集まった。

今回も話題は尽きることなく、ウナギ食文化の継承と発展に向けた交流は盛り上がり、遅くまで続いた。(新美貴資)