〈『DoChubu』2013年2月6日更新、2020年4月24日加筆修正〉
地元で水揚げされた魚介類や加工された水産品が販売される、第11回「白塚おさかなまつり」(主催:同まつり実行委員会)が2012年12月22日(土)午前8時半から12時まで、三重県津市の白塚漁港で開かれ、冷たい雨の降る天気にもかかわらず訪れた多くの買い物客でにぎわいました。
会場には、白塚の特産であるシラス干しや煮干し、コウナゴやカタクチイワシの丸干しなどのほか、カズノコやイクラ、新巻鮭や田作りなど正月用の食材もならび、売り場は押し寄せる客であふれました。まつりでは、ビンチョウマグロの解体・即売やカタクチイワシの米粉揚げの試食、アサリ汁の無料配布といったイベントや歌謡ショーなどのアトラクションも企画され、来場者の注目を集めました。
人気の「白塚ぎょうざ」を味わう
冷たい雨が止まないなか、午前8時半ごろに会場を訪れるとものすごい人の数。漁港には、県産のハマグリやアサリ、サザエなど活きた貝類や地元産のシラス干しや煮干し、イワシ類の丸干しなどの水産加工品のほか、野菜やお米、お茶や和菓子などを販売する売り場がずらりとならび、多くの客が買い物に夢中です。年輩の夫婦から小さな子どもを連れた家族まで、みなさん大きな買い物袋を抱えて売り場に押し寄せ、商品を手にとって物色しています。大勢の客の熱気を受けて、売り場では威勢のよい掛け声が飛び交っています。
人込みで埋め尽くされた漁港のなかを歩いていると、記者が以前から食べてみたいと思っていた「白塚ぎょうざ」が販売されているのを見つけ、さっそく購入していただきました。3年前に地元の若手漁師さんたちがアイデアをだしあって商品化したという、魚肉をたっぷり使ったユニークなぎょうざは、白塚漁港であがったカタクチイワシの身にショウガやニンニクなどを加えてミンチにし、皮で包んで油で揚げたもの。揚げたてをほうばると、とてもボリューム感があって、魚肉の濃厚な味わいが口のなかいっぱいに広がります。
せっかく獲れてもほとんどが養殖魚の餌になってしまうカタクチイワシを、地元の人々にもっと味わってほしいと、子供たちも食べやすいようぎょうざにして工夫をかさねた、漁師さんが自信をもってすすめる一品です。
脂ののった伊勢湾のカタクチイワシ
人気の「白塚ぎょうざ」に続く、カタクチイワシを使った新たな商品として会場で試食配布されていたのが、頭と内臓を取り除いて米粉で揚げたもの。表面はカリッとしていて中はとってもふっくら。口当たりが軽くて、冷めてもおいしくいただくことができます。この「カタクチイワシの米粉揚げ」、試食の際に行っていたアンケートでは「また食べたい」「家でもつくってみたい」という回答が多く寄せられ、好評を得ていました。
カタクチイワシの水揚げが県内でもトップクラスという白塚漁港。これだけの漁獲量があるのに多くは食用化されておらず、「食が浸透していない」と話す若い漁師さん。伊勢湾で獲れるものは「潮があまいから脂がのっている」と胸を張ります。
この漁師さんがすすめてくれたカタクチイワシの丸干しをいただいてみたのですが、たしかに身にはしっかりと脂がのっていてやわらかく、甘みが感じられました。一年でもっとも旬な時期は9月頃だそうで、このときのカタクチイワシはとくに脂がのっていて、とてもおいしいのだそうです。地元の海が育む豊かな味わいをもっと知ってもらいたいと、白塚の漁師さんたちは獲れた魚を有効に利用した商品を開発し、ピーアールを精力的に行っています。
魚の丸干しを焼く香ばしいにおいが漂うなか、たくさんの人々が白い息をはずませながら、売ったり買ったり、魚をさばいたり運んだり、忙しく立ち回っています。じっと立っていると足の裏の感覚がなくなってしまうような、とても底冷えのする一日でしたが、漁港は多くの人や海産物であふれ、熱のこもった売り込みやアトラクションが会場を大いに盛り上げていました。(新美貴資)