里山川海を歩くライターの活動記録

水産のいろんな世界を歩き見て、ひとの営みや暮らしを伝えています

旬の寒ウグイを味わい交流を深める 下呂市で第10回ぎふ魚食文化サロン

〈『日本養殖新聞』2013年寄稿、2020年6月2日加筆修正〉

f:id:takashi213:20200602111728j:plain

参加者が味わった寒ウグイの煮浸し

岐阜県内の各地で川魚料理を味わいながら参加者同士が交流を図り、河川文化について理解を深める「ぎふ魚食文化サロン」の第10回が2013年3月23日、下呂市萩原町の食事処「あまの」であり、県内外から11名が出席して開かれた。

今回のテーマは、市内を流れる益田川で旬の時期に獲られたウグイ。小雪が降り水温がもっとも下がる頃のものは、脂がのっていることから「寒ウグイ」と呼ばれ、この地域では昔から食されてきた。

冒頭、サロンの主宰者で河川民俗を研究する長尾伴文さんが「同じ魚でもその食べ方は川や地域によって違う。味わいながら学んでいきたい」などと挨拶。

会場には、伝統食である寒ウグイの煮浸しをはじめ、アマゴの塩焼きや唐揚げ(サラダ風)、猪肉のすき焼きの他、同店で新たに開発された猪肉のしぐれ煮を使った「笹ずし」などがならび、参加した人々は舌鼓をうった。

ゲストには、「あまの」の経営者で著名なプロ釣り師としても知られる天野勝利さんが招かれ、地元の食材を使った料理について説明。世界の川を旅した経験から、日本の四季のすばらしさや釣りの魅力などにもふれ、「自然を肌で感じながら行う釣りは奥が深く、非常に面白い」などと語った。

天野さんが所有する郡上竿やシカの角を使ったタモ網など、職人の手による貴重な釣具の数々も披露され、大きな関心を集めた。

食後には、フリーアナウンサーの浅井彰子さんが、この土地に伝わる2つの民話を朗読して紹介。参加者は味わった料理の余韻にひたりながら、熱心に聞き入った。

サロンは今後も県内の各地で開かれる予定。実際の漁を体験したり、川と生きる人々の話を聞きながら、魚食を通して地域の魅力を発掘していく。

f:id:takashi213:20200602112733j:plain

アマゴの塩焼き

f:id:takashi213:20200602112813j:plain

アマゴの唐揚げ

f:id:takashi213:20200602113009j:plain

店で新たに開発された猪肉のしぐれ煮を使った「笹ずし」

f:id:takashi213:20200602113118j:plain

職人によって作られた郡上竿やタモ網などが披露された

f:id:takashi213:20200602113248j:plain

今回のサロンの会場となった食事処「あまの」

(新美貴資)