里山川海を歩くライターの活動記録

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名古屋の柳橋中央市場で「日曜おさかなマーケット」 活性化に向け若手が企画する

〈『日本養殖新聞』2013年5月寄稿、2020年6月3日加筆修正〉

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名古屋駅近くの柳橋中央市場内にある伊藤ビル(写真右手前)。ここで「日曜おさかなマーケット」が開かれている

名古屋駅近くの柳橋中央市場内にある伊藤ビルで2013年4月7日、「日曜おさかなマーケット 若者が盛り上げる~俺たちの朝市~」が開かれ、200人を超える一般客がつめかけ賑わった。

この催しは、市場の活性化を図ろうと、同ビル内に店を構えて鮮魚を販売する「久野」専務の久野敏弘さん、ウナギやアユなど川魚を扱う「中庄商店」専務の菊川雄平さんら若手4人が中心となって企画したもの。

「プロの素材を食卓に」「馴染みになってお値打ちに」「プロの味をその場で」をコンセプトに、マグロ解体ショーや鮮魚の即売、子供が楽しめるウナギのつかみ捕りやレストランのシェフが調理した海鮮丼の販売などが行われ、盛況だった。

市場で年末を除く日曜に店舗が営業し、一般客を対象にした催しが開かれるのは初めて。名古屋駅から歩いてすぐの市場には、休市の日曜にも観光客や買い物客が訪れ、「今日は営業していないのか」といった声が多く寄せられることから日曜の開催に至った。

日曜おさかなマーケットは今後も毎月1回開催される。5月は26日午前7時から11時まで(売切れ次第終了)。解体したマグロや詰め放題のアサリ、炭火で焼いたウナギやアユなどが目玉商品として販売される予定。

4月の催しには、お年寄りから子供連れの家族まで予想を上回る大勢の客が来場し、解体したマグロはあっという間に売り切れ。刺身用のサーモンやホタテ、茹でたタコやベニズワイガニのほぐし身など、新鮮な鮮魚もお得な値段で販売され、人気を集めた。

初めての試みに久野さんと菊川さんは、「お客さんと会話をしながら販売することができて楽しかった」(久野さん)、「継続して取り組んでいくことが必要。市場をより良くしたい」(菊川さん)と感想を述べ、今後の展開に意欲をみせた。

かつては300店ほどが軒をつらね活気にあふれていた市場だが、現在その数は半分まで減り、空き店舗も目立つという。市場の将来に危機感をもつ若手が立ち上がり、動き始めた新たな挑戦。豊富な食材がそろい、一般客も利用することができる市場の魅力をアピールし、市場全体を盛り上げていきたいとしている。(新美貴資)