〈『日本養殖新聞』2013年寄稿、2020年6月4日加筆修正〉
岐阜県・長良川下流などの指定された漁場で、2013年5月11日より天然アユの漁が始まり、岐阜市中央卸売市場では連日競りが行われている。
11日午前6時から始まった初競りでは、獲れたばかりのアユを詰めた箱が37枚(1枚当たり1キロ前後)入荷され、1枚当たりの最高値は昨年の2万円を上回る3万円をつけた。平均価格は8400円だった。
入荷量は豊漁だった昨年の約4分の1。サイズは10センチ前後が主体で、例年に比べてやや大きめだという。仲買人によって競り落とされたアユは、県内の料亭などに出荷された。初日の競りを振り返り、市場関係者は「入荷が少ないわりに価格は安い。今のサイズは小さくて需要がまだあまりない」などと話した。
20日の時点でも入荷は低調で、「量は少ないが、値段がつかない」傾向が続いている。18日は60枚の入荷があり、最高値は8000円、平均価格は5000円ほどだった。
日曜の休市をはさんだ20日は、前日から雨が降り、漁がほとんど行われなかったことから入荷は7枚にとどまった。午前6時に競りが始まると、仲買人らは台の上にあがって運ばれてくるアユを囲み、競り人の掛け声を受けて競り落とした。
6月には長良川上流の漁場などでも漁が解禁となる。「天然はこれからサイズが良くなる。最盛期は夏休みに入ってから」と、市場では今後のアユの成長や漁、消費の動向について期待を寄せる関係者の声が聞かれた。
(新美貴資)
※記事に記載されている価格は、取材当時のものになります。