里山川海を歩くライターの活動記録

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ウナギについて理解深める 大阪で第8回生物多様性協働フォーラム開催

〈『日本養殖新聞』2014年寄稿、2020年6月13日加筆修正〉

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多くの人びとが来場し熱心に耳を傾けた

生物多様性と社会の関わりについて考える「第8回生物多様性協働フォーラム」が2014年12月23日、大阪市内の「グランフロント大阪」で開かれた。今回は「ウナギの未来をつなげよう~うまいもんが結ぶ人の縁、水のつながり、生きもののくらし~」をテーマに、専門家による基調講演の他、パネルディスカッションが行われ、来場した約420人が熱心に聞き入った。

主催したのは、同フォーラム事務局を構成する三菱UFJリサーチ&コンサルティング兵庫県人と自然の博物館、西日本自然史系博物館ネットワークの3つの組織。

基調講演では、和歌山県立自然博物館の揖善継学芸員が「ここまでわかったウナギの生態&関西の現状~河川調査の現場から~」、大阪歴史博物館の伊藤廣之副館長兼学芸課長が「近世の大阪、豊かな川魚文化と、それを支えた人々の暮らし」と題して、それぞれ発表した。

講演のなかで揖学芸員はウナギ資源の減少について、産卵時期のずれや地球・海洋環境の変動など、短期的なものから長期的なものまでさまざまな要因があると説明。このなかで人間が対策を講じることができるのは、陸水・沿岸域における過度の漁獲や、生息場所の減少と劣化の中期的要因のみであるとして、河川・沿岸域におけるウナギの保護や環境の保全・再生の必要性を訴えた。

続くパネルディスカッションでは、兵庫県立大学自然・環境科学研究所の三橋弘宗講師をコーディネーターに、鹿児島県内水面漁連の高崎正風会長、鹿島建設環境本部の柵瀬信夫氏、大阪府立環境農林水産総合研究所水生生物研究センターの上原一彦主幹研究員、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの西田貴明副主任研究員の他、基調講演した2氏も登壇。ウナギを保護するため、鹿児島県出水市で行われている、伝統的な石倉漁を応用したウナギのすみか作りなどが紹介され、意見が交わされた。

会場入口ではサイドイベント「水でつながる生物多様性縁日」も開かれ、堺市のウナギ料理専門店「鰻や竹うち」が出店。ウナギ弁当を販売するとともに、資源の大切さを訴えるポスターを掲示し、来場者にアピールした。

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ウナギや河川、自然環境などに関するさまざまなポスターが掲示された

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生きたウナギやさまざまグッズなどが展示され注目を集めた

(新美貴資)