里山川海を歩くライターの活動記録

水産のいろんな世界を歩き見て、ひとの営みや暮らしを伝えています

【日本養殖新聞】《年頭所感》ウナギから自然や社会を考える

〈『日本養殖新聞』2022年1月15日号寄稿〉

新年が明けました。

新型コロナウイルスの変異株による感染拡大が懸念されており、今年も多難な年明けとなりました。長引くコロナ禍で、もう以前のような社会には戻らないでしょう。人類は幾多の厄災に見舞われながらも、今日まで歩んできました。乗り越えた先にどのような新しい社会をつくるかが、今を生きる私たちに問われています。

これまでの新自由主義から脱却し、「成長」や「競争」から「共生」や「共助」を大切にする、大きな意識の転換が求められていると思います。この国はすでに、「成長」から「成熟」の時代に移っているのです。

気候変動、海洋プラスチック、自然破壊など環境問題もいよいよ深刻になってきました。水産業が受ける影響は、今後さらに大きくなると予想され、心配しています。

〈私たちは地球で暮らす生きものなのだ〉(岸由二『「流域地図」の作り方』筑摩書房)。この言葉が心に深く刺さっています。これ以上、負の遺産を次の世代に背負わせないために、一人ひとりにできることがたくさんあるはずです。

こうしたことを念頭に置きながら、ウナギを通して自然、社会、文化、地域などのことについて考えていきたい。そして、ウナギが暮らす川や海を歩くなかで疑問に思ったことや興味のわいたことをもっと調べていきたいです。

また、ウナギ食文化の盛んな東海地方や地元名古屋からの情報もお伝えしていければと考えています。

本年もよろしくお願いします。

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