里山川海を歩くライターの活動記録

水産のいろんな世界を歩き見て、ひとの営みや暮らしを伝えています

2020-02-24から1日間の記事一覧

〈新美貴資の「めぐる。(35)」〉信頼を大切に勤しむ ウナギ専門店「うな昇」二代目 竹川典孝さん

〈『日本養殖新聞』2015年4月15日号掲載、2020年4月16日加筆修正〉 愛知県名古屋市のもっとも東に位置する名東区。約16万人が生活する区域は、新興の住宅地と豊かな緑が広がり、子どもからお年寄りまで、暮らしやすい人気のエリアとして発展を続ける。同区の…

〈新美貴資の「めぐる。(34)」〉本物の旨さを追求する 「うなぎ大嶋」二代目店主 大嶋茂樹さん

〈『日本養殖新聞』2015年3月15日号掲載、2020年4月16日加筆修正〉 残寒から早春へ。肌をさす寒気の痛みが少しずつやわらいで、陽光が明るさを取り戻す頃、三寒四温によって深い眠りから息を吹き返した生き物たちの脈動が、そこかしこで刻みをうち始める。恵…

〈新美貴資の「めぐる。(33)」〉結いの精神で川と生きる 長良川漁師 平工顕太郎さん

〈『日本養殖新聞』2015年2月15日号掲、2020年4月16日加筆修正〉 延長166キロ。岐阜県郡上市の大日岳に源流をもつ長良川。県内を北から南に縦断し、愛知、三重県をぬけて伊勢湾へとそそぐ。83万人の流域人口を抱える一級河川は、人びととの営みを日夜繰り返…

〈新美貴資の「めぐる。(32)」〉毎年が一年生 「豊橋うなぎ」を生産する松井養魚場 松井政久さん

〈『日本養殖新聞』2015年1月25日号掲載、2020年4月16日加筆修正〉 愛知県の東の玄関口にあたる豊橋市。全国有数の産出額を誇る農業をはじめ、化学や繊維、自動車などの工業が盛んなかつての宿場は、約38万人の人口を抱える東三河の要衝として、いまも発展を…

〈新美貴資の「めぐる。(31)」〉割きも串うちも一生 ウナギ専門店「なまずや各務原分店」二代目 西脇 潤さん

〈『日本養殖新聞』2014年12月15日号掲載、2020年4月16日加筆修正〉 岐阜県美濃地方の中濃と西濃にはさまれたなかにある岐阜地区。地区の南部に位置する各務原(かかみがはら)市は、県庁のある岐阜市と隣接し、南端を流れる木曽川をはさんで愛知県と向かい…

〈新美貴資の「めぐる。(30)」〉川が一番ですべて 「矢田・庄内川をきれいにする会」会長 宮田照由さん

〈『日本養殖新聞』2014年11月15日号掲載、2020年4月15日加筆修正〉 岐阜県恵那市の夕立山に源流をもち、土岐や多治見、愛知県の瀬戸、名古屋市などの濃尾平野をぬけて、伊勢湾奥へとそそぐ庄内川。延長約96キロにおよぶ一級の都市河川は、流域に暮らす多く…

〈新美貴資の「めぐる。(29)」〉自然に畏怖し感謝する 石徹白漁協組合長 石徹白隼人さん

〈『日本養殖新聞』2014年10月15日号掲載、2020年4月15日加筆修正〉 青空に浮かぶうろこ雲をあおぎ、頬をなでるひんやりとした風を受け、深まる秋の訪れを知る。観光客でにぎわう岐阜県の郡上八幡をこえて、一路北上。たどり着いた白鳥の街から、さらに曲り…

〈新美貴資の「めぐる。(28)」〉創業からの味を守る う料理「藤屋」の四代目 田辺昭裕さん

〈『日本養殖新聞』2014年9月25日号掲載、2020年4月15日加筆修正〉 夏の終わりから秋の始まりへ。盛夏の勢いが陰り、陽光にやわらかさが感じられるようになった頃、降り立ったのは三重県の津駅。改札をぬけると、どんよりと曇った午後の空からはぽつぽつと雨…

〈新美貴資の「めぐる。(27)」〉環境を守り次代へつなぐ 60年にわたり矢作川で魚の調査を続ける 梅村錞二さん

〈『日本養殖新聞』2014年9月5日号掲載、2020年4月15日加筆修正〉 愛知県の東西の都、名古屋と豊橋にはさまれた真ん中にあって、平野から山間部にまでひろがる県内最大の市域をもつ豊田。この広大な地域を縦断するのが矢作川。長野県の阿智村と平田村をまた…

〈新美貴資の「めぐる。(26)」〉経験から答えを導く 炭焼うなぎ「喜多川」を経営する 北川宗彦さん

〈『日本養殖新聞』2014年7月15日号掲載、2020年4月15日加筆修正〉 三重県の北勢地域にあって、人口31万人を抱える県内最大の工業都市・四日市。臨海部は、高層に煙突がそびえ、広大な工業地帯がどこまでも続く。石油化学コンビナートから近いJR「四日市駅」…

〈新美貴資の「めぐる。(25)」〉自然が一番の遊び場 料理旅館「清竜」・「杉ケ瀬ヤナ」を経営する 森尾清左衛門さん

〈『日本養殖新聞』2014年6月15日号掲載、2020年4月14日加筆修正〉 前回に続いて、訪れたのは「水の都」。岐阜県郡上市の中心をなす八幡町から、蛇行する長良川を縫うようにしてのぼり、北へと向かう。八幡をこえて隣接する大和町にはいると、まわりを囲む、…

〈新美貴資の「めぐる。(24)」〉自然を思いやる 「郡上だも」を伝承する釣り師 成瀬博明さん

〈『日本養殖新聞』2014年5月10日号掲載、2020年4月14日加筆修正〉 岐阜県の中央にあって、奥美濃地方にひろがる郡上市。市の中心をなす八幡町は、長良川、吉田川、小駄良川の三川が合流する「水の都」として知られる。豊かな名水が長い年月をかけて人びとの…

〈新美貴資の「めぐる。(23)」〉老舗の未来を切り開く ウナギ料理店「いなりや」四代目 河合克英さん

〈『日本養殖新聞』2014年4月15日号掲載、2020年4月14日加筆修正〉 水郷地帯がひろがる岐阜県の南西部にあって、愛知と三重の両県に接し、長良川や揖斐川など、いくつもの河川が南下する海津市。初春の陽気がただようなか、乗り合いバスに飛び込み、のどかな…

〈新美貴資の「めぐる。(22)」〉親ウナギの保護へ奔走 松文養鯉場代表 松田文男さん

〈『日本養殖新聞』2014年3月15日号掲載、2020年4月14日加筆修正〉 灰色のどんよりと曇った空からは、冷たい雨がしとしとと降りそそぐ。長い冬の眠りから目を覚ます生き物たちにとっては恵みの雨。日々寒暖を繰り返す大気の変転に確かな実感をつよめ、近づく…

〈新美貴資の「めぐる。(21)」〉環境保全と情報発信に注力 馬瀬川上流漁協組合長 老田達男さん

〈『日本養殖新聞』2014年2月15日号掲載、2020年4月14日加筆修正〉 春の足音が少しずつ聞こえ始めた濃尾の平野部とはことなり、いまも真冬のまっただ中にあるのは、岐阜県の山野部にある飛騨地方。下呂市内の飛騨萩原駅から乗り合いバスに腰をおろし、曲がり…

〈新美貴資の「めぐる。(20)」〉河川文化の創造へ疾走 岐阜の川人文化研究会 ぎふ魚食文化サロン 主宰者 長尾伴文さん

〈『日本養殖新聞』2014年1月10日号掲載、2020年4月14日加筆修正〉 卓上にならぶ天然と養殖のウナギ。さわやかな脂が口のなかで溶ける天然ものと、濃厚な味わいが後をひく養殖もの。どちらも職人の手によって調理された風味絶佳な蒲焼き。これを楽しみに訪れ…

〈新美貴資の「めぐる。(19)」〉笑顔のために天職を邁進 炭焼「うな富士」店長 柴田哲滝さん

〈『日本養殖新聞』2013年12月15日号掲載、2020年4月14日加筆修正〉 「ウナギってこんなに香ばしかったっけ」。その味を十分に知っているはずの年輩の男性客が目を丸くし、夢中になって丼をかきこむ。初老の男女グループや若者の二人連れ、中高年のサラリー…

〈新美貴資の「めぐる。(18)」〉「豊橋うなぎ」のピーアールに努力 豊橋養鰻漁協組合長 福井孝男さん

〈『日本養殖新聞』2013年11月15日号掲載、2020年4月14日加筆修正〉 昨年12月に地域ブランドとして商標登録された愛知県の「豊橋うなぎ」。ウナギについての登録は、全国でも「一色産うなぎ」に次ぐ2件目となる。その名称は、安全で安心な豊橋の地下水で育て…

〈新美貴資の「めぐる。(17)」〉二人三脚で客に満足を届ける 「炭火焼うなぎ おがわ」を経営する 田中篤さん・信美さん

〈『日本養殖新聞』2013年10月15日号掲載、2020年4月14日加筆修正〉 三重県津市の郊外にあって、のどかな田園風景が広がる一身田(いっしんでん)地区。伊勢神宮へ供える御供米がつくられてきたという由緒あるところで、浄土真宗高田派の本山・専修寺がある…

〈新美貴資の「めぐる。(16)」〉故郷の清流とともに歩む 馬瀬川下流漁協組合長 池戸賢作さん

〈『日本養殖新聞』2013年9月15日号掲載、2020年4月14日加筆修正〉 切り立つ山々が四方にそびえ、深緑がどこまでも広がる。ようやく聞こえ始めた秋の足音は、まだずっと彼方のほう。前日の豪雨を受け、眼下の濁流はしぶきをあげて轟々と加速する。7つの河川…