里山川海を歩くライターの活動記録

水産のいろんな世界を歩き見て、ひとの営みや暮らしを伝えています

【DoChubu掲載】〈おさかなブログ〉三重外湾漁協錦事業所が始めた新たな挑戦。 地元で獲れた魚を届ける軽トラの魚屋「魚々錦」

〈『DoChubu』2011年10月25日更新、2020年4月22日加筆修正〉

f:id:takashi213:20200312131035p:plain

地元で獲れた魚を山間部の消費者に届ける「魚々錦」

三重県の「大紀町特集」の取材で訪れた漁師町の錦地区。錦漁港にある三重外湾漁協紀州北支所錦事業所では、地元の人たちにおいしい魚をもっと食べてほしいとの思いから、今年(2011年)の春より軽トラックで魚を運ぶ移動販売を始めています。軽トラックの店の名前は「魚々錦(とときん)」。毎週月曜に事業所の職員が漁港にあがった魚を積んで、町内の山間部など4カ所を巡回しています。

「今日はなんにしましょ!」「お刺身もあるよ!」。販売の様子をうかがおうと巡回先の一つを訪れると、気さくな店員を相手に地元の女性客が買い物をしている最中でした。「いつも買いに来る。新鮮だしね」とにっこり笑顔を浮かべて、たくさんの魚を購入していました。

f:id:takashi213:20200312131135p:plain

「魚々錦」でいろんな魚を買い求める地元の客

「魚々錦」で扱うのは地元の海で獲れた魚が中心で、干物やノリの佃煮などの加工品も販売しています。この日は、ムツやカマス、サンマなどの鮮魚が主に売られていました。客の注文を受けた店員は手際よく魚を袋に入れ、サービスの氷と一緒に発砲スチロールの箱に詰めていきます。

「常連さんもついてきた」。忙しい作業の合間に店員の方が笑顔で話してくれました。消費者と直接顔をあわせて交流することができる新たな販売に、手ごたえを感じているようです。季節や天候によって水揚げの状況は異なるため、販売できる魚の種類や量は常に変わりますが、そんなことを話しながら魚を選ぶ買い物はきっと楽しいはず。「魚々錦」によって地元の魚ファンがさらに増えることを期待したいです。

(新美貴資)

みつける。つながる。中部の暮らし 中部を動かすポータルサイトDoChubu