里山川海を歩くライターの活動記録

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ウナギのおいしい講演会が愛知県図書館で 企画展示「ウナギ:ひつまぶしの未来を考える」も開催

〈『日本養殖新聞』2017年寄稿、2020年6月25日加筆修正〉

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一般から約60人が参加しウナギについて学んだ

ウナギに詳しい研究者やライターらによる「ウナギのおいしい講演会」が2017年7月22日、愛知県名古屋市の県図書館で開かれた。一般から約60人が参加し、講師の話に熱心に耳を傾け、ウナギについて理解を深めた。

講演は、県水産試験場内水面漁業研究所の服部克也所長が「ウナギのこともっと知ってちょ!」と題して話し、県立三谷水産高校生徒の伊藤敦さん、川添雄眞さんがウナギの研究成果を報告、小林清和教諭が学校を紹介し、県内在住のフードライター永谷正樹さんが「ウナギ料理と名古屋めし」について発表した。

服部所長は、ウナギの血液に毒が含まれていること、ウナギや蒲焼きの語源、蒲焼きの関西風と関東風の違いなどについて、わかりやすく説明。ウナギの生活史や試験場での研究、生産量が全国第2位の愛知の養鰻業について解説し、関係者による下りウナギの保護や標識ウナギの提供を呼びかける活動なども紹介した。

三谷水産高校の伊藤さん、川添さんは、学校の実習施設で挑戦しているウナギの完全養殖について、①養殖ウナギが雄ばかりであること②シラスウナギの雌への性転換③受精のタイミング④ふ化初期の餌―を成功するうえでの4つの壁にあげた。

また小林教諭は、学科やコース、卒業生の進路などについて説明し、生徒たちが参加している漁民の森づくりや地元企業と協働した新商品の開発などの取り組みを紹介した。

永谷さんは、ひつまぶしについて「名古屋めし」が注目を集めた2005年の愛知万博の前後から広まったとし、「古くからの習慣や伝統に縛られなかったことが、ひつまぶしを全国に知らしめ、キング・オブ・名古屋めしとして確固たる地位を築きあげた」と述べ、汎用性を名古屋めしが持つ特徴にあげ、その面白さをアピールした。

講演会の他、県図書館では7月25日、ウナギの本について職員がブックトークを行い、図書館サポーターによる落語「素人鰻」の朗読も催された。

また7月29日には、児童を対象にウナギなどの魚が登場する話の読み聞かせや紙芝居が行われ、県の観光PRキャラクター「ひでっち」と一色うなぎ漁協のマスコットキャラクター「まんてんくん」との撮影会も開かれた。

県図書館の1階ロビーでは、7月14日から8月9日まで、企画展示「ウナギ:ひつまぶしの未来を考える」が開催されている。ウナギに関するパネルや図書館の資料が展示されている他、水槽も設置され、生きたウナギを観察することができる。講演会のあった22日は、ロビーで三谷水産高校が地元企業と開発した佃煮の販売も行われた。

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1階ロビーで開催された企画展示「ウナギ:ひつまぶしの未来を考える」

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ウナギに関するパネルや資料、漁具などが展示された

 (新美貴資)