里山川海を歩くライターの活動記録

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【DoChubu掲載】〈おさかなブログ〉天下の奇祭、南知多町豊浜の鯛まつり

〈『DoChubu』2011年8月22日更新、2020年4月21日加筆修正〉

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いくつもならぶ巨大な鯛のみこし。地元の人々をはじめ多くの見物客でにぎわいました

愛知県南知多町の豊浜海岸で毎年7月に開かれる、天下の奇祭「鯛まつり」。今年は2011年7月23日(土)、24日(日)と開かれました。昨年は都合が悪くて見に行くことができなかったのですが、今年は24日に豊浜を訪れ、祭りの熱気を肌で感じてきました。

漁師町が、一年でもっとも盛り上がる真夏の2日間。大勢の若者によってかつがれ、町のなかを堂々と泳ぐ大鯛は迫力満点でした。この日は曇り空。日差しはゆるやかでしたが、流れ落ちる汗は止まらず、みこしをかつぐ若者も見物する老若男女もみんな汗だく。大鯛がそろう漁港の周辺は大勢の人で、いつもとは異なるにぎわいで溢れていました。

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大勢の若者によってかつがれ勢いよく進む大鯛

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多くの大漁旗がはためいていた漁港

愛嬌ある表情を見せながら砂埃をあげ、巨体をふりながら進む大鯛。目の前を通りすぎるときなど、若者の威勢のよい掛け声が飛び交い迫力満点です。

豊浜商工会によると、鯛まつりは明治18年頃、祭礼に興をそえようと、ハツカネズミの張りぼてを作ったのが最初だと言われています。その後、張りぼては魚へと変わり、大正初期に大鯛になったのだとか。

地域の強い絆、一体感を感じる祭りは、見ているだけで体のうちが熱くなります。伊勢・三河湾の各地には、昔から伝わるいろんな祭りや伝統行事があります。こうした漁村に残る伝統や文化のなかには、私たちが失ってはならない大切なものがたくさん詰まっているような気がします。

助け合い、支えあう精神が今も変わらず地域にしっかりと根付いている漁師町。そんな漁村のすばらしい魅力も、またご紹介できればと思います。

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以前にも紹介した豊浜の特産品である魚醤「しこの露」

豊浜漁港のすぐ横にある「魚ひろば」では、豊浜の特産品である魚醤「しこの露」を購入。伊勢湾で獲れた新鮮なカタクチイワシから作った、無添加の天然調味料です。

店員さんによると、しょう油のかわりに刺身や鍋物、煮物に使うことができ、そば、うどんのだしからチャーハンの仕上げまで、和洋中なんにでもあうそう。好みでさまざまな料理の隠し味に使用しても最適とのこと。早速自宅では、このしこの露をしょう油がわりに使っています。

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市場食堂のまつり限定メニュー「煮穴子丼」

昼を過ぎるとお腹の減り具合がさらに増し、どうしようかと漁港近くを歩いていると、
通りかかった市場食堂に「本日限定!煮穴子丼」の看板が。これは食べるしかないと、客が少ない頃合を見計らって入店。豊浜で揚がった新鮮なアナゴを丼ぶりでいただきました。

甘く煮詰めたアナゴはとてもやわらか。ご飯が止まらずどんどん進みます。天ぷらもうまいのですが、味のしみこんだ煮アナゴもまた格別です。一緒に付いたシャコの味噌汁もだしがよく効いていて、とても濃厚な味わいでした。(新美貴資)

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