里山川海を歩くライターの活動記録

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【DoChubu掲載】〈おさかなブログ〉愛知県水産試験場の一般公開デー

〈『DoChubu』2011年8月25日更新、2020年4月22日加筆修正〉

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大人から子供まで人気を集めた「えびせんべいの作り方を見よう」のコーナー

愛知県水産試験場本場(蒲郡市三谷町)で一般公開が2011年8月6日(土)にあり、研究内容の紹介や試験器具、漁具の展示のほか、海の生き物に触れて親しむ体験やえびせんべいの製造実演など、さまざまな催しが企画され、多くの家族連れでにぎわいました。

毎年夏に開かれている試験場の一般公開。ちょうど夏休みということもあって、昼前に訪れると会場にはすでに多くの来場者が。さまざまな海の生き物や大きなウナギにタッチできるコーナーは子供たちに大人気。プールの中を泳ぐトラフグ、クロダイの稚魚やマナマコなどは毎年、種苗放流されている生き物で、子供たちは身を乗り出し、水のなかを夢中でながめていました。

来場者の注目を集めた水質浄化実験では、愛知県が全国一の生産量を誇るアサリを使用。同じ海水を注いだ二つのビーカーのうち、一つにはいくつかのアサリを入れて、比べながらしばらく観察。アサリを入れたほうの海水は、時間の経過とともにきれいになり、3時間も経つと驚くほど澄んでほぼ透明に。三河湾には、アサリをはじめバカガイやトリガイなどの二枚貝がいて、エラで海水をこし取り、植物プランクトンを摂取しています。

職員の説明によると、アサリは1時間に約1リットルも海水をろ過するそう。こうした二枚貝が海の浄化に大きな役割を果たしていることが、実験からもよくわかりました。

今年も楽しみにしていたのが、えびせんべいの製造実演。地元の漁師と県立三谷水産高校の生徒が、三河湾で獲れたサルエビを使って目の前でえびせんべいを作ります。頭をカットして味付けしたエビを専用の機械でプレスして、どんどん焼き上げていきます。できたてのえびせんべいを試食すると、熱々でとても香ばしく、歯ごたえもパリッパリ。えびせんべいに最適という、サルエビのうま味と甘みがたっぷり詰まっていました。

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珍しい魚がいっぱいの水槽を覗き込む来場者

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(左)三河湾に生息するたくさんの貝類。(右)9時半にアサリを入れた海水は、3時間後にこれだけきれいになりました

植物プランクトンを顕微鏡で観察して、その種類の多さと複雑な体の形に驚いたり、展示されていたかわいいミズクラゲが、時には大量に網にかかって漁業に被害をもたらしていることを知ったり。職員の話を聞きながら、三河湾の海の様子や試験場で行われているさまざまなな試験、研究について学ぶことができました。

この他、金魚すくいと飼育相談、県漁連による特産ノリの即売、焼きノリの試食、ところてんを作る教室といった楽しいコーナーも開かれました。

また、今回は県食育推進課によるインターネットで受験する食育検定「あいち食育いきいき検定2011」のブースも設けられ、来場者だけでなく試験場の職員もチャレンジ。わたしも早速やってみましたが、とにかく難問の連続で何度も頭を抱えてしまいました。

この検定は、8割以上の正解で合格。栄養バランス、郷土料理、愛知の特産物など、幅広い分野から毎回違う問題が出題され、詳しい解説や得点分析も表示されます。なんとか運よく80点で合格できましたが、難しい問題がかなりあります。地産地消についての設問もありますので、みなさんもぜひ挑戦してみてください!

検定の詳しい内容は、愛知県の食育ウェブサイト「食育ネットあいち」に記載されています。検定は無料で、同サイトから受検することができます。

普段なかなか目にすることのできないたくさんの海の生き物を見て触ったり、いろんな体験が楽しめる水産試験場の一般公開。夏休みの子供たちにとっては、きっといい思い出になったと思います。海のこと、魚のことなど、疑問に思ったことはなんでも尋ねると試験場の職員の方がやさしくていねいに教えてくれます。昨年もこの一般公開には参加しましたが、今回も大人から子供まで楽しく学べる充実した催しがいっぱいでした。

(新美貴資)

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