里山川海を歩くライターの活動記録

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「食」について見て・聞いて・触れて学ぶ―第1回親子食育教室「夏休み!親子de食育」

〈2009年8月19日執筆、2020年5月19日加筆修正〉

愛知県とあいち食育サポート企業団による第1回親子食育教室「夏休み!親子de食育」が2009年7月28日(火)、29日(水)の両日、県内で開かれました。健全な食生活の実践に向けて、五感を通して「食」について学び、関心を深めてもらおうと企画されたこの催しに、小学校4年から6年生とその保護者20組40名が参加。県や食品メーカー担当者から食材の歴史や栄養などについての講義を受けたほか、海苔の食べくらべやみそづくりの実習を行い、中央卸売市場や食品工場などの現場も見学しました。

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「ウィルあいち」で行われた1日目

1日目は、名古屋市東区の「ウィルあいち」で県食育推進課、同企業団の食品メーカー担当者による講義と実習が行われました。この日の授業は「私たちの食生活と課題」(県食育推進課)、「お酢ってなあに?納豆ってなあに?」(株式会社ミツカン)、「海苔の博士になろう!」(株式会社浜乙女)、「みそ造り教室―『マイみそ』でおいしくごはんを食べよう」(イチビキ株式会社)の4つでした。 

1時間目の「私たちの食生活と課題」では、県食育推進課主事の青木伸之さんが、普段の食生活にどのような問題点があるのか。どのようなことに気をつけなければならないかを、県の取り組みも紹介しながら説明。食べ残しによって大量の食品が廃棄されている現状についてもふれ、①好き嫌いせず残さずに食べる②食べられる量をつくり、注文する③衛生管理に気をつけて廃棄を減らすーことを呼びかけました。 

2時間目の「お酢ってなあに?納豆ってなあに?」では、ミツカン西日本支社名古屋支店営業推進部営業企画課主任で管理栄養士の丹羽康子さんが、同社でつくっているお酢や納豆についての歴史や効能などを解説。お酢のタンパク質を固める力を使った実験も行いました。温めた牛乳のなかにお酢を入れてかきまぜ、こしてみるとできあがったのはカッテージチーズ。お酢のもっている特性を目にして、参加者はみな驚きの表情でした。

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浜乙女のCMキャラクター・でえたらぼっちも登場した

3時間目の「海苔の博士になろう!」では、浜乙女商品開発部販売促進担当で管理栄養士の新美陽子さんが、海苔のでき方や産地、栄養などを説明しました。「海の緑黄色野菜」ともいわれ、食物繊維やビタミン類など、いろんな栄養素を含んでいる海苔のパワーをアピール。やわらかい九州有明産としっかりした瀬戸内海産の食べくらべもして、全員で食感の違いを確認しました。

 4時間目の「みそ造り教室―『マイみそ』でおいしくごはんを食べよう」では、イチビキ第1工場生産技術課の中島彰貴代さんがみそについて講義し、米みそづくりにも挑戦しました。ボールに麹と食塩を入れて混ぜ、さらに蒸し大豆と酵母液を加えて、力をいれてこねていきます。漬物用の容器に空気を抜きながらつめていく最後の作業まで、どの親子も一生懸命に取り組んでいました。 

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2日目は県内3か所をバスで移動し行われた

 2日目は県内3か所をバスで移動しての現場見学でした。最初の「『エアポートウォーク名古屋空港店』探検隊」(ユニー株式会社)では、西春日井郡豊山町にあるアピタ名古屋空港店へ。ここでは食品リサイクルなどの取り組みや食品売場の仕事について説明を聞きました。続く「水産物の流通について」(協力:市中央卸売市場本場、中部水産株式会社、名古屋鮮魚卸協同組合青年会)では、同市熱田区にある市中央卸売市場へと移動し、市場の業務と流通の仕組みを学びました。最後の「パンができるまで」(敷島製パン株式会社)では、刈谷市今川町にある同社工場の食パン製造ラインを見学しました。

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名古屋市中央卸売市場では鮮度の異なる養殖カンパチの食べくらべも行われた

このうち、「水産物の流通について」では、中部水産販売促進部長でおさかなマイスターでもある神谷友成さんが、安全・安心な生鮮食品を届ける卸売市場の役割や水産物の流通について説明しました。鮮度の異なる養殖カンパチの食べくらべも行われ、その味や食感の違いに参加者はみな驚いていました。その場で行われた名古屋鮮魚卸協同組合青年会会長の岩田隆臣さんによるカンパチの解体に、子供たちは目を輝かせて見入っていました。

 2日間にわたって行われた親子での食育教室。どの講義もていねいでわかりやすく、クイズを取り入れて行われたことから、とても楽しく学ぶことができたようです。見たり、味わったり、触れたりと、五感を使っての実習や現場見学はどれも新鮮な体験で、とても貴重な学びの場となったようでした。

 あいち食育サポート企業団は、愛知県発祥の食品関連企業が自主的に集まって2007年10月に結成されました。健全な食生活と豊かで活力ある社会づくりに向けて、県や関係団体と連携して食育を推進する活動を行っており、現在は9社が参加しています。

(新美貴資)