〈『日本養殖新聞』2014年寄稿、2020年6月12日加筆修正〉
第3回公開シンポジウム「岐阜市の絶滅危惧種と外来種」が2014年11月23日、同市文化センターで開かれた。主催したのは、同市と岐阜生物多様性研究会。市では、絶滅のおそれのある種、その地域に侵入した外来種をそれぞれ一覧表にした「レッドリスト」と「ブルーリスト」について、今年度中の作成を目指している。今回のシンポジウムは、作成途中のリストを市民に公開し、意見を取り入れようと企画されたもので、3回目の開催となった。
「レッドリスト、ブルーリストとは何か」と題して講演した、市版レッドリスト等作成検討委員会の検討委員である岐阜大学地域科学部の向井貴彦准教授は、自然が失われ多くの動植物が絶滅していくなか、「今、何が起きているのかを正しく知らないと何もできない」とし、「自然を守るために今、どういった生き物が危機にあるのかをまとめたリストがレッドリスト」であると説明。
IUCN(国際資源保護連合)版、環境省(日本)版、都道府県版、市町村版のいろいろなレッドリストがあるが、全体的な評価と地域の現状は一致しないと説き、「自分たちの暮らす自然を守るためには、その地域版のレッドリストが必要」であることを強調した。
また、市版レッドリスト・ブルーリスト候補種の解説が各専門家によって行われ、このうち魚類・十脚甲殻類を向井准教授が説明。レッドリストの「準絶滅危惧」に区分されているアユについては、生息環境が悪化しており、1990年代半ば以降の漁獲量が激減していることや、増殖のためふ化放流しており「人の手で個体群を維持している」ことを選定した理由にあげた。
市版レッドリスト候補種のうち、魚類は36種が掲載されており、二ホンウナギは「絶滅危惧Ⅰ類」、アマゴ(サツキマス)は「絶滅危惧Ⅱ類」に区分されている。
(新美貴資)