里山川海を歩くライターの活動記録

水産のいろんな世界を歩き見て、ひとの営みや暮らしを伝えています

漁業・漁村・魚食の魅力を発信しています

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四方を海に囲まれた日本の沿岸には、津々浦々に浜があり、たくさんの漁村が点在しています。各地の浜では、いろいろな漁法による漁業が行われ、四季を通して多種の魚介類が水揚げされています。漁獲された魚が食卓に届くまでには、流通や加工などの工程において、さまざまな職能を持つ人びとの働きが日夜あり、産地から消費地までの安全・安心な水産物の供給が維持され、私たちの食は守られています。

日本人にとって特別な魚食文化を育み、支えてきた、水産業の原点ともいえる存在が、浜であり漁村です。固有の風土と、そこで暮らし自然と共生してきた人びとの営みから、独自の伝統や文化、知恵や技術が生まれ、今日まで継承されてきました。多様であることは豊かであること。自然と人とが密接にかかわる環境のなかで育まれてきた、里海の母体とも言える漁村は、その存在の一つひとつが豊かさをたたえた、この国の誇るべき宝です。

水揚げされたたくさんの魚がならび、活気にわく朝の漁港は、活気であふれています。漁師や仲買人ら老若男女がきびきびと働く姿はまぶしく、漁や市場の競りが終わった後の、ゆったりとした時間が流れる漁村の光景に癒されます。ときには厳しくもある自然を敬い、その恵みを感謝して授かり、先人たちが培い磨いてきた技や知恵を受け継いで次代へとつなぐ。そんな浜の人びとの生き方に魅せられ、惹かれ続けています。

海や川で生きる生産者を応援し、漁業と漁村、そしてそこで暮らす人びとの営みを、少しでも伝えられたらと思い、取材を続けています。協同と共生の精神がいまも息づく漁村は、水産物の供給以外にも、環境保全や密漁監視、海難救助などのさまざまな役割を果たしている漁業者が暮らす共同社会であり、国土の保全にもつながる多面的な機能を担い、独自の伝統・文化を保有しています。漁業と漁村は、私たち日本人にとって欠くことのできない存在であり、これからも守っていかなければならない大切なものであると考えます。

                             水産ライター 新美貴資