里山川海を歩くライターの活動記録

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【DoChubu掲載】白子漁港であがった新鮮な海産物を販売する「まるかつ」

〈『DoChubu』2010年7月18日更新、2020年4月20日加筆修正〉

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「まるかつ」の名物である「伊勢にぼし」のバケツ売り

F1をはじめとするモータースポーツのレース開催地・鈴鹿サーキットがあることで有名な三重県鈴鹿市。伊勢湾にも面していることから昔から漁業が盛んで、市内の白子(しろこ)漁港では多くの魚が水揚げされています。商店街やホテル、大型スーパーなどがならぶ、近鉄「白子駅」の周辺。新しいマンションや歴史を感じさせる木造家屋が続く住宅街のなかを歩き進むと、多くの漁船が泊まる漁港が見えてきます。その白子漁港のすぐ目の前にあるのが海産物問屋「まるかつ」です。とれたばかりの新鮮な魚を加工してつくったチリメンや煮干し、干物、つくだ煮、ノリなどを販売する地元でも人気の店です。

店のなかは元気と笑顔でいっぱい

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とにかく明るくて元気な店長の松林さん(右)はじめスタッフのみなさん

1986年に創業して24年目を迎える「まるかつ」。元々この地でチリメンや煮干しなどの水産加工品を製造しており、地元のお客さんにも直接、商品を届けたいとの思いから店を開いたのだそうです。現在は4家族を中心に27名の従業員が店と工場で働いています。

地元産のものを中心にたくさんの海産物がならぶ店内。売り場のあちこちではお客さんとスタッフの話し声が飛び交い、とてもにぎやかです。「元気が売りなんです」と、笑顔で話すのは店長の松林大樹さん。「まるかつ」で働いて10年。先頭に立って店を切り盛りする2代目です。「お客さんと店員が仲良しになれるよう。接客でのコミュニケーションにも力を入れている」という同店。客足の絶えることがない店内は、いつも元気と笑顔であふれています。

白子産の海産物が豊富にそろう

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チリメンを使った惣菜で1番人気の「梅ちりめん」

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(左)白子産の新鮮なシラスでつくった「甘塩ちりめん」(右)「三重県産 生炊きくぎ煮

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(左)白子産の「片口いわし丸干」(右)三重県産の「きざみめかぶ」「めかぶ」

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たくさんの海産物であふれかえる店内

店ではチリメンや煮干しをはじめ、カツオ節や昆布、干物、つくだ煮、ノリやワカメ、ヒジキといった海藻まで、数多くの海産物を扱っています。チリメンを使った惣菜や珍味も充実していて、おいしそうな商品を一つひとつながめていると、時間が過ぎるのもあっという間です。そんななか、店の入り口で見つけて驚いたのが、バケツに山盛りで売られている伊勢湾産の煮干しです。創業当時から名物となっている、この「徳用バケツにぼし」。良いダシがとれるそうで、同店の人気商品となっています。

白子漁港であがった鮮度の良いシラスを、釜あげして天日に干した「チリメン」も人気です。他にも、シラスを塩ゆでした「シラスの釜あげ」や「チリメン」をさらに乾燥させた「カチリ」などもよく売れているそうです。「三重県産 生炊きくぎ煮」も同店一押しの商品。春にとれる魚、コウナゴを煮炊きしたもので、関西の食卓では欠かすことのできない一品です。くぎ煮を食べる習慣のなかった鈴鹿でも、コウナゴのおいしい食べ方を知ってもらおうと、10年前から作り方のレシピをお客さんに配布。いまでは多くの人が家庭でくぎ煮をつくるようになり、シーズンが来るとコウナゴを買いに訪れるそうです。

納得の商品を自信をもって販売

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白子漁港の目の前にある店。多くのお客さんでにぎわっています

すぐ目の前が漁港という立地をいかして、新鮮で良質な海産物を販売する同店。扱う商品も、スタッフが味や品質を吟味して意見を交換。納得したこだわりの商品を、自信をもって販売しています。

「お客さんと触れあえるのが何よりも楽しい」と話す松林さん。「おいしいと言ってもらえるのが一番うれしい」と、この仕事の魅力について語ってくれました。松林さんは、地元の活性化に向けた取り組みにも積極的に参加しています。市民グループのメンバーとして、コウナゴとノリを使った「しろこピザ」を小学校で作って児童にふるまったり、市内の他の商店主と一緒になって、鈴鹿の魅力を再発見するバスツアーを企画するなど、店の運営に汗をかきながら様々な活動にも力を入れています。

たくさんの海産物であふれかえる店内。試食をしながら、気さくなスタッフと会話しながらの買い物はとても楽しく、きっと何度でも行きたくなるはず。白子漁港であがった海の幸がいっぱいの「まるかつ」。ぜひ足を運んでみてください。(新美貴資)

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