里山川海を歩くライターの活動記録

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【DoChubu掲載】〈市場特集〉楽しいイベントが盛りだくさんの「魚河岸感謝デー」!一般客でにぎわう豊橋魚市場

〈『DoChubu』2010年12月29日更新、2020年4月20日加筆修正〉

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豊橋魚市場のなかにある「おさかなセンター」。一般客もここで魚を買うことができます

愛知県の東部、豊橋市にある豊橋魚市場。明治時代から続く、長い歴史をもつ地方卸売市場です。地元の三河の漁港であがった魚はもちろん、全国各地、海外からも魚介類や水産加工品が集まり、ここで取り引きされています。

この豊橋魚市場では、一般消費者も買い物を楽しむことができます。魚市場のなかには、「おさかなセンター」と「食品センター」があり、セリに参加する仲買人が営む店舗がならんでいます。「おさかなセンター」では、その日のセリで仕入れた新鮮な魚を買うことができ、「食品センター」では食肉や野菜、果物のほか、塩干物、佃煮、惣菜、生花までなんでもそろうことから、営業時間の午前中は多くの一般客でにぎわっています。

今回は、そんな豊橋魚市場で毎月2回開かれている人気のイベント「魚河岸感謝デー」を紹介したいと思います。

新鮮な魚がならぶ「おさかなセンター」

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たくさんの新鮮な魚がならぶ「おさかなセンター」。どれもお値打ち価格で購入できます

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(左)渥美半島の外海で漁獲されたニギス。焼いたり唐揚げにするとおいしい魚です。 (右)地元ではワガと呼ばれるユメカサゴ。煮つけで食べる地元でも人気の魚です

仲買人が参加するセリは、朝の6時半から始まります。外はまだ真っ暗ななか、たくさんの魚であふれるセリ場。セリが始まると、大きなかけ声がひびきわたり、静かだった魚市場が熱気をおびてきます。

セリ落とされた魚は、仲買人の手によってスーパーや飲食店へと運ばれるほか、「おさかなセンター」の店でも販売され、購入することができます。「おさかなセンター」には、仲買人の営業する店が19軒あり、どの店も新鮮な魚や貝、カニやエビなどでいっぱいです。地元の三河湾渥美半島の外海でとれたものを探してみると、メヒカリ、ニギス、マダカ、クロダイなど、たくさんの魚を見つけることができました。

この日は、毎月2回開かれる「魚河岸感謝デー」。一般の消費者に地元でとれる魚のこと、豊橋にも市場があることを知ってもらおうと、豊橋魚市場と「おさかなセンター」、「食品センター」が協力して4年前から行っているイベントです。誰でも参加できる素人セリ、マグロの解体即売、野菜や果物など100円均一での販売、2000円以上の買い物で豪華商品が当たる抽選会などが開かれています。

大人気のマグロの解体

時刻は8時半。「おさかなセンター」に鐘の音が鳴りひびくと、「豪快!新鮮マグロ解体即売」が始まります。この日に解体するのは、塩釜産の重さ33キロのメバチマグロ。会場には多くの人だかりができ、大人も子供も熱い視線を注いでいます。

解体作業を担当する仲買人が、開始の合図を叫ぶと客からは大きな拍手が。丸々と太ったマグロが、見事な包丁さばきであっという間に解体されていきます。「はい食べてよ!早いもん勝ち」試食の皿にどっさりと盛られるマグロの刺身。次々と手がのびて、あっという間に客の胃袋へと消えていきます。解体されたマグロは柵に切りわけられ、800円から1300円ぐらいで販売。多くの客が試食後に買い求めていました。

素人セリで市場の活気を体験

9時になると「おさかなセンター」の別の会場で「どきどき素人セリ」が始まります。「100円単位で買えますよ。肉、野菜、魚いろいろあるからぜひ買っていって」と呼びかける魚市場の担当者。この日、セリにかけられたのは、しめサバ(日本海産)、活きたワタリガニ(国産)、3枚におろしたコノシロ(国産)、カレイ(三河湾産)、トマト(三河産)のほか、冷凍のアサリやシーフードミックスなど。

多くの客が会場を囲むなか、セリが始まりました。最初の商品は、三陸産のサンマ。セリ人がサンマを手にして、「5本入って100円から」と威勢よく声をかけると、「100円」「200円」と客から手があがり、300円でセリ落とされました。

商品の産地や市価、おいしい食べ方などが紹介され、セリはテンポよく進んでいきます。セリ落とされた商品のほとんどは市価の半値以下。商品を手にしたみなさん、どの顔にも満足の表情がうかびます。市場だからこそ体験できる素人セリ。老若男女が参加することができるイベントの目玉です。

定期的に開催される「魚河岸感謝デー」。話をうかがった店によると、リピーターの客も着実に増えているとのこと。ファンが増えることによって、魚市場全体の活性化にもつながっているようです。東三河地域の台所として、安全・安心で新鮮な魚介類をはじめ、さまざまな食品を買うことができる豊橋魚市場。いろんなイベントを楽しみながら買い物ができる、魅力ある魚市場です。(新美貴資)

※記事中に記載されている価格は、取材当時のものです。

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