里山川海を歩くライターの活動記録

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【DoChubu掲載】〈地域のお店探訪〉三重県産の小麦を使ったうどんを製造 地元を応援する「堀製麺」

〈『DoChubu』2011年2月18日更新、2020年4月20日加筆修正〉

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三重県産の小麦を使った麺づくりに力を入れる堀製麺の堀社長

三重県四日市市で長年にわたり製麺業を営む堀製麺。一般向けはもちろん、飲食店や企業・学校給食などの業務用にも力を入れて、うどん、そば、ラーメンなど、お客のニーズに応えたこだわりの麺をつくり続けています。その堀製麺で力を入れて取り組んでいるのが、三重県産の小麦粉や米粉、そば粉などを使った麺づくりです。

なかでも、県産の小麦でつくった「まるごと伊勢うどん」は、社長の堀哲次さんがおすすめする自信作です。通常の小麦粉は、外側の皮を取り除いてつくられていますが、この「まるごと伊勢うどん」は、皮をふくめ全てを製粉した「全粒粉」を使っているのが特徴です。

「全粒粉」をつくるのはとても手間がかかるそうですが、食物繊維や鉄分などが多く含まれていることから栄養もたっぷり。ちょっと色のついたうどんは、モチモチした食感で、小麦の独特な風味を楽しむことができます。

とことん地元産にこだわる

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製麺の「まるごと伊勢うどん」を自宅でつくってみました。 太いうどんを勢い良くすすると、モチモチした歯ごたえがなんとも言えず、 小麦の独特な風味が口のなかいっぱいに広がりました

おいしい麺づくりを追求し続ける堀さん。ちょうどうかがった際も、「全粒粉」を使った「まるごと伊勢うどん」をもっとおいしくしたいと、商品の改良に取り組んでいるところで、いろんな話を聞くことができました。

うどんの美味さをもっと引き出すため、小麦から「全粒粉」をつくる製法にもさらに工夫を加え、タレのたまりしょう油にももっとこだわろうと、原料の大豆も県産のものを採用。一切無添加の大豆と塩のみからつくる、本物のたまりしょう油を使用したタレの開発に向けて、地元の醸造メーカーと取り組んでいます。

改良を加えた新商品の発売は4月頃になるそう。「前の商品よりもずっといいですよ」と目を輝かせる堀さん。どうしたらもっとおいしい麺がつくれるのか。飽くなき探究心で究極の麺づくりへの挑戦を続けています。

地域を元気にしたい

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さまざまな地元食材を使って完成させた商品の一つ「伊勢茶細うどん」。 お茶の風味が楽しめる人気商品です

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(左)小麦の皮までまるごと入って栄養たっぷり。 こだわりの「まるごと伊勢うどん」。(右)同社の工場。毎月1回第2土曜日に工場直販会が開かれます (開催日時については同社にお問い合わせください)

地元産の食材を積極的に取り入れた商品の開発に力を入れる堀さん。その根底にあるのは、地域を元気にしたいという想いです。7年ほど前からは毎年、地元の小学校で子供たちに手打ちうどんのつくり方を教え、味わってもらう体験イベントにもボランティアで協力しています。「うどんのつくり方を家族にも教えたい」「毎日大変な物をつくって、すごいなと思いました」。体験した子供たち一人ひとりから送られてきたお礼の絵やメッセージカードは、堀さんの大切な宝物となっています。

3年ほど前からは一般のお客向けに自社工場での直販もスタート。毎月1回、第2土曜日には、工場前で商品の販売・試食イベントも行っています。今年(2011年)1月には、「年明けうどん」のイベントも工場前で開催。地元産の食材を扱う、地産地消に熱心な地域の方々にも出店を呼びかけ、住民の交流の場として大いににぎわったそうです。

同社では、「まるごと伊勢うどん」のほかにも、三重県産の小麦を使った「忍術生ラーメン」「八丁味噌煮込みうどん」をはじめ、業務用でも「桜うどん」「よもぎ麺」「ひじきうどん」など、ユニークな商品をたくさん製造しています。工場では平日でも商品を購入することができます。ぜひ味わってみてください。(新美貴資)

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