〈『DoChubu』2011年9月30日更新、2020年4月22日加筆修正〉
今年も愛知県蒲郡市の知柄漁港で、蒲郡漁協西浦支所主催の青空市が2011年9月18日(日)に開かれました。以前に蒲郡の特産である魚・メヒカリの取材で訪れたことがある知柄漁港。どんな魚が並んでいるのかを楽しみに会場をのぞいてきました。
この日は朝から快晴で強い日差しでした。青空市が始まる10時前に会場の知柄漁港に着くと、すでに多くの人がつめかけ、売り場に並んでいました。
伊勢・三河湾で獲れた魚はもちろん、前浜の浅海で収穫した貝類や沖合の深海で漁獲されためずらしい魚介類が、漁場や漁業の種類ごとに設けられたテントで販売され、多くの人が青空市の開始と同時に競うように買い求めていました。
愛知県で沖合底びき網漁業が唯一行われている蒲郡。沖合底びき網漁業とは、和歌山から静岡県沖までの水深100メートル以上の深い海に生息する魚を獲る漁法で、市や漁協がブランド化に力を入れている地元ではメヒカリと呼ばれるアオメエソをはじめ、ニギスやアカザエビなど、蒲郡では県内の他の漁港では見ることのない魚介類が数多く水揚げされています。
青空市では、沖合底びき漁船が獲ったメヒカリ、アカザエビ、タカアシガニ、ムツなど、深海で獲れた魚介類がいくつも並んで、来場者の注目を集めていました。この他にも、渥美半島の外海や伊勢・三河湾で獲れたエイ、カワハギ、キス、シマアジ、マダコ、ガザミ、シャコ、クルマエビ、サルエビなど、どれもが格安で販売され、多くの人がクーラーボックスやバケツを手にたくさんの魚を買い求めていました。
今回の青空市では、演歌歌手・段田男(だんだだん)さんの歌謡ショーも企画され、海の演歌がイベントをさらに盛り上げていました。やはり漁港には演歌がよくあいます。
せっかく来たのだから、晩のおかずをなにか手に入れたいと思い、蒲郡漁協西浦支所の女性部が調理・販売していた「メヒカリの唐揚げ」を購入しました。昨年の取材で食べてから、そのおいしさにすっかりはまってしまい、以来記者の大好物です。
もちろん女性部のみなさんが調理してくれた「ヤリイカとザルエビのピラフ」も、配布と同時に並んでその場でいただきました。三河では「サルエビ」のことを「ザルエビ」と呼びます。コンソメですこし味の付いたご飯に魚介のうま味が加わったピラフは絶品。浜のお母さんたちがつくってくれた料理を、潮の香りが漂う漁港で食べる。これ以上にない贅沢な味でした。
販売に追われ忙しく行き交う漁師さん、新鮮な魚を求めて並ぶ多くの一般客。真夏のような暑さのなかでみんな汗をかきながらも、その表情は笑顔でいっぱいでした。
(新美貴資)