〈2011年12月8月31日執筆、2020年5月29日加筆修正〉
昔からなぜか海が好きだった。
その想いは、齢を重ねるごとに輪郭をあらわにし、より熱を帯びてくる。
何かに突き動かされるように漁港を歩く。
太陽の光を浴び、空の色と混ざりあう海の色はいつ見ても異なる。
その表情は同じところにとどまることなく、刻一刻と移り変わっていく。
鼻腔の奥をくすぐる磯の香り。
頬をやさしく撫でる潮風。
港の岸壁を踏みしめたときのざらついた感触。
魚市場にならぶピカピカに輝く魚たち。
そのどれもに胸が高鳴る。
そして何よりも、海とともに生きる浜の人びとの、たくましさ、やさしさ、素朴さ、一途さ。体の芯からあふれでる魅力に惹かれて止まない。
歩けば歩くほど、新たな力が体中にみなぎり、不思議と元気がわいてくる。
海とともに人が生き、暮らす漁港や漁村を、これからも歩き続けていきたい。