〈『DoChubu』2010年4月28日更新、2020年4月20日加筆修正〉
石臼挽きしたこだわりの抹茶でうま味と香り、風味を味わう
抹茶の産地として全国でも有名な愛知県西尾市。中心街から郊外へ向かうと、茶畑が一面に広がる光景に出くわして、思わず目を奪われます。温暖な気候と肥えた土壌、近くを流れる矢作川の豊富な水にめぐまれていることから、抹茶の原料茶葉となる、てん茶の栽培に適しており、日本を代表するてん茶の二大産地のうちの一つとなっています。
大正初期にこの地で茶園を開き、現在は抹茶の製造、販売を行っている葵製茶。抹茶の生産能力は全国でもトップクラスで、長年にわたって培ってきた技術と行き届いた環境のなかで、おいしい抹茶づくりに日々取り組んでいます。
同社の商品を販売している本店では、地元でつくられた茶はもちろん、抹茶を使ったユニークな商品もたくさん並んでいて、買い求めることができます。同社が扱う商品のなかでも、最近人気なのが抹茶を使ったデザートやお菓子です。本店では、抹茶のロールケーキ、クランチチョコ、ブッセをはじめ、アイスやせんべい、ソフトキャンディーなど、さまざまな商品が販売されていて、売れ行きも好調だそうです。
「最近はクランチチョコやキャンディー、アイスなど、若い方の関心が高いですね」と話すのは、店長の中根伊志恵さん。なかでも、春から夏まで販売する「抹茶ロールケーキ」はあまりの注文の多さに生産が追いつかないほど。秋から冬まで販売するパウンドケーキも根強い人気があるそうです。
生地とクリームの両方に抹茶を使用した「抹茶ロールケーキ」。フワフワな生地を一口食べると、抹茶のほのかな香りが広がります。濃厚でありながらもしつこくないクリームの甘みが、生地ともほどよくあって、二切れ、三切れとあっという間に食べてしまいます。
中根さんによると、抹茶はデリケートな食材のため、他の食品とコラボレーションするのが難しい食材なのだそうですが、プリンやゼリーなど、新たな商品開発への意欲を語ってくれました。
良質な抹茶を安定してつくり続ける
てん茶の栽培、茶摘みから、店頭に並ぶ抹茶ができるまでには、たくさんの工程があって、多くの手間を必要とします。茶葉はとてもデリケートなことから、加工における温度や湿度の管理も、味や品質を一定に保つうえでとても重要なのです。
同社の工場も見せてもらいました。工場内には500台もの石臼があって、てん茶をひく作業場面には圧倒されました。この細かく石臼挽きされたものが抹茶となるのです。工場では、目立師という専門の職人が常に石臼を手入れして、茶のまろやかさや香り、渋みの絶妙なバランスをつくりだしているのだそうです。
自然の恵みを受けて畑で栽培される茶は、その年の天候によって味が変わります。また、同じ西尾にあっても、畑の場所によって味には微妙な違いがうまれるそうです。「味を一定に保つのはとても大変なことなのです」。毎年、良質な抹茶を安定してつくり続けることの難しさを、企画営業部の水野大介さんが教えてくれました。
「おいしい本物のお茶の味をみなさんに知ってほしいですね」。最後に話してくれた、中根さんの言葉がとても印象に残りました。上品な甘みと香り、風味が楽しめる西尾産の抹茶のデザート。抹茶でいっぷくしながら、味わってみてはいかがでしょう。
商品は、本社にある本店のほか、額田郡幸田町にあるJAあいち三河Aコープ幸田店でも販売しています。また電話やFAX、HPからも注文を受け付けています。(新美貴資)