里山川海を歩くライターの活動記録

水産のいろんな世界を歩き見て、ひとの営みや暮らしを伝えています

長良川

長良川で天然アユ漁始まる 岐阜市中央卸売市場で5月11日に初競り

〈『日本養殖新聞』2013年寄稿、2020年6月4日加筆修正〉 2013年5月20日に行われた天然アユの競り 岐阜県・長良川下流などの指定された漁場で、2013年5月11日より天然アユの漁が始まり、岐阜市中央卸売市場では連日競りが行われている。 11日午前6時から始ま…

長良川で生きる―若手漁師の「結」の物語(1) 一番難しい魚捕りの「ぼうちょう網漁」を体験

〈2015年7月28日執筆、2020年5月23日加筆修正〉 川漁師として長良川で生きる平工さん 「長良川で生きる」。そう固く誓い、強い意思を胸に秘めた一人の若き川びとがいる。 平工顕太郎さん。31歳。川漁師として、最年少の鵜舟船頭として、また漁舟でエコツアー…

〈新美貴資の「めぐる。(86)」〉神の使いであるウナギを守る 岐阜県郡上市・粥川を歩く

〈『日本養殖新聞』2019年8月25日号掲載、2020年4月18日加筆修正〉 岐阜県郡上市美並町の粥川に行ってきた。以前にも紹介したが、この地域ではウナギを神の使いとしてあがめ、昔から大切に守り続けている。毎年7月、星宮(ほしのみや)神社でウナギの供養祭…

〈新美貴資の「めぐる。(81)」〉長良川の文化をどう守るか 奪われた生命の循環

〈『日本養殖新聞』2019年3月15日号掲載、2020年4月18日加筆修正〉 1月、岐阜市の長良川を歩いた。鵜飼い大橋から下流を望むと、異様な光景が広がっていた。何台もの大きな重機が川の中に入り、川底を掘削したり、砂礫を運んだりしている。天然アユが付く金…

〈新美貴資の「めぐる。(80)」〉長良川に生きた 職漁師・大橋亮一さんを悼む

〈『日本養殖新聞』2019年2月15日号掲載、2020年4月18日加筆修正〉 職漁師・大橋亮一さん(岐阜県羽島市)が先月24日、病気のため亡くなった。83歳だった。豊かだった頃の長良川を知る、数少ない職漁師の一人だった。 昭和の戦後、高度経済成長期からの工場…

〈新美貴資の「めぐる。(74)」〉ウナギの聖地で供養を行う 岐阜県郡上市・粥川で地元の調理師会が主催

〈『日本養殖新聞』2018年8月25日号掲載、2020年4月18日加筆修正〉 ウナギを神の使いとして守っている岐阜県郡上市美並町の粥川(かゆかわ)で7月25日、ウナギ供養祭が行われた。主催したのは郡上調理師会で、美並観光協会、郡上漁協との共催。会場となった…

〈新美貴資の「めぐる。(72)」〉川舟を制作し技術を記録 長良川の和船技術継承に向けて

〈『日本養殖新聞』2018年6月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 この春に岐阜県立森林文化アカデミーを卒業した学生が「長良川和船技術継承に向けた取り組み」をテーマにした課題研究で川舟を制作した。この和舟を見ようと、美濃市にある専門学校を訪ねた…

〈新美貴資の「めぐる。(70)」〉豊かな川を取り戻すために 愛知県主催の第5回長良川連続講座

〈『日本養殖新聞』2018年4月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 第5回「清流長良川流域の生き物・生活・産業」連続講座が2月18日、名古屋市内で開かれた。愛知県長良川河口堰最適運用検討委員会の主催で、「長良川の魅力を語りつくす!」をテーマに掲げた…

〈新美貴資の「めぐる。(65)」〉産卵で終盤迎えるアユシーズン 晩秋の岐阜市・長良川を歩く

〈『日本養殖新聞』2017年11月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 実りと恵みの季節も終盤に入った。日中は汗ばむ陽気も、朝晩は日増しに冷え込み、長良川では寒風が吹き始める。岐阜県岐阜市ではアユの産卵が盛んで、年魚による子孫を残すための最期の戦…

〈新美貴資の「めぐる。(64)」〉伝統漁法で落ちアユを捕る 岐阜県・長良川のやなと瀬張網漁

〈『日本養殖新聞』2017年10月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 落ちアユの季節がやってきた。秋になるとアユは産卵期に入る。オスは精巣、メスは卵巣が成熟し、遡上した川をくだる。岐阜県の美濃地方を縦断する長良川では、中流を中心にこのときのアユ…

〈新美貴資の「めぐる。(63)」〉石倉かごのモニタリング調査に同行!! 岐阜県山県市の美山漁協が実施

〈『日本養殖新聞』2017年9月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 石倉かごのモニタリング調査が行われると聞いて、9月の初めに岐阜県山県市の武儀川に向かった。同市の尾並坂峠付近に水源をもつ武儀川は、関、岐阜市を通り長良川と合流する。本流はアユの…

〈新美貴資の「めぐる。(59)」〉漁師は川の守り人 解禁迎えた長良川のアユ漁

〈『日本養殖新聞』2017年5月25日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 アユの季節がやってきた。海でたくさんの栄養をとり、生きる力をたくわえた稚魚は、春になると一斉に遡上して上流を目指す。このときの移動はまだ群れで、岐阜市を流れる長良川では、真っ黒…

〈新美貴資の「めぐる。(54)」〉長良川流域の自然環境を守る 株式会社郡上割り箸 割り箸・木育事業部長 野村純也さん

〈『日本養殖新聞』2016年12月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 雨にぬれた路面がゆっくりと乾き、頭上をおおっていた厚い雲が流れ青空がひろがる。「水のまち」と呼ばれる、岐阜県は郡上市八幡町にやってきた。 同市は長良川の上流域にあり、吉田川と小…

〈新美貴資の「めぐる。(51)」〉アユは可能性のある面白い魚  長良川漁師 平工顕太郎さん

〈『日本養殖新聞』2016年9月15日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 今年も「長良川DAY2016」(同実行委員会主催)が9月3、4日の両日、岐阜県郡上市で開かれた。20年以上続くこの催しは、長良川河口堰建設に反対する会(岐阜市)、長良川水系・水を守る会(郡…

〈新美貴資の「めぐる。(43)」〉ウナギを食べない信仰の里 郡上市美並町の粥川を訪ねる

〈『日本養殖新聞』2016年1月25日号掲載、2020年4月17日加筆修正〉 ウナギを食べない風習が伝わり、いまも守られている地域があるのを知っているだろうか。岐阜県郡上市美並町の粥川(かゆかわ)。美濃の山奥にある小さな山里で、その伝承は語り継がれ、ウナ…

〈新美貴資の「めぐる。(38)」〉母なる川に生きる 長良川漁師 大橋亮一さん

〈『日本養殖新聞』2015年8月15日号掲載、2020年4月16日加筆修正〉 江戸と京都をむすんだ中山道の宿場のひとつ、太田宿。岐阜県の中濃地域、美濃加茂市に残る宿場町は、岐阜と東濃、飛騨地域をつなぐ要衝の「美濃太田駅」から歩いて約15分のところにある。本…

〈新美貴資の「めぐる。(33)」〉結いの精神で川と生きる 長良川漁師 平工顕太郎さん

〈『日本養殖新聞』2015年2月15日号掲、2020年4月16日加筆修正〉 延長166キロ。岐阜県郡上市の大日岳に源流をもつ長良川。県内を北から南に縦断し、愛知、三重県をぬけて伊勢湾へとそそぐ。83万人の流域人口を抱える一級河川は、人びととの営みを日夜繰り返…

〈新美貴資の「めぐる。(29)」〉自然に畏怖し感謝する 石徹白漁協組合長 石徹白隼人さん

〈『日本養殖新聞』2014年10月15日号掲載、2020年4月15日加筆修正〉 青空に浮かぶうろこ雲をあおぎ、頬をなでるひんやりとした風を受け、深まる秋の訪れを知る。観光客でにぎわう岐阜県の郡上八幡をこえて、一路北上。たどり着いた白鳥の街から、さらに曲り…

〈新美貴資の「めぐる。(25)」〉自然が一番の遊び場 料理旅館「清竜」・「杉ケ瀬ヤナ」を経営する 森尾清左衛門さん

〈『日本養殖新聞』2014年6月15日号掲載、2020年4月14日加筆修正〉 前回に続いて、訪れたのは「水の都」。岐阜県郡上市の中心をなす八幡町から、蛇行する長良川を縫うようにしてのぼり、北へと向かう。八幡をこえて隣接する大和町にはいると、まわりを囲む、…

〈新美貴資の「めぐる。(11)」〉清流の盛衰を見守る 長良川漁師 大橋亮一さん 修さん

〈『日本養殖新聞』2013年4月15日号掲載、2020年4月14日加筆修正〉 かつて日本が誇る清流と呼ばれた長良川。美濃や飛騨の奥深い山々から生命の源泉となる流れがうまれ、いくつもの支流と相合しながら岐阜県を縦断し、伊勢湾へとそそぐ。この悠久の流れのなか…

〈新美貴資の「めぐる。(6)」〉故郷の清流を見守り続ける 板取川漁師 野村真富さん

〈『日本養殖新聞』2012年11月15日号掲載、2020年4月13日加筆修正〉 長良川の支流である板取川。「清流の国」をうたう岐阜県のなかにあって、流域に豊かな恵み、多様な文化をもたらしてきた河川の一つである。この板取川が流れる関市洞戸(ほらど)地区をた…